韓国の厳しい半導体業界の実情
苦境に陥る韓国半導体業界というお話をさせて頂きたいと思います。
コロナによる特需が終了し、現在、半導体価格の暴落が大きな話題となっています。
特に半導体の中でもメモリーやフラッシュメモリーといった一般的な汎用半導体。
この価格が半額以下に落ちてしまっており、大きな問題になっているわけです。
また、それ以外の要素としても昨年10月7日の半導体規制によってサムスンとSKハイニックスの中国工場の存続が危ぶまれています。
アメリカは10月7日、最先端の半導体のみならず現行主力世代の半導体にまで輸出に関して規制をかけました。
半導体製造装置等を輸出出来なくしてしまったわけです。
これは中国国内で活動する外国企業も対象となっており、特に問題となっているのがサムスンの工場と、そしてSKハイニックスの工場という事になります。
サムスンもSKハイニックスも中国でメモリーやフラッシュメモリーという記憶媒体を作っていました。
特にハイニックスの場合、インテルの半導体工場を買収し、その債務も大きな問題となっています。
かつてインテルは中国の大連で半導体を製造していました。
この工場をハイニックスに売却する事を決定し、ハイニックスは90億ドルという巨額な資金でこの買収を決めたわけです。
現在、買収の第一弾70億ドルで工場や製造設備を手に入れました。
また、2025年までには追加で20億ドル出し、その研究開発等に関しても買収する事が決まっています。
しかし現在、半導体価格は暴落しており、新規の投資が出来ない状況にあるわけです。
アメリカは昨年CHIPS法によってアメリカ国内等に半導体工場を移した会社に対して補助金を付ける事を決定しました。
このCHIPS法ですが、そのかわりに条件として28ナノメートル以下の半導体製造設備等、中国に投資してはいけない10年間投資禁止規制というものが入っていたわけです。
半導体というのは、どんどんどんどん新しい物と切り替えて行かなければ生産コストも落ち、価格も下落していきます。
つまり、アメリカから半導体の支援代金を頂くかわりに中国への工場を放棄しなくてはいけない。
これが条件となっているわけです。
またそれだけではなく10月7日の半導体規制により新しい設備等の入れ替えが出来ないだけではなく、現行設備に関してもメンテナンス等の問題が出る可能性が出て来ました。
サムスンもハイニックスも確かに半導体、メモリー、フラッシュメモリー等を製造していますがその製造機械等は日本やアメリカなど海外の技術によって成り立っています。
この海外メーカーが中国に製造設備を売れないという事になれば、サムスンやハイニックスの工場は閉鎖するしかありません。
この問題ですが、最終的にはサムスンもハイニックスも中国工場を放棄するしかないかと思われます。
しかし、ファウンダリといわれるカスタムCPUなどをつくっているサムスンに比べ資本力が弱く債務も大きいハイニックスは、この中国工場を閉鎖イコール企業の倒産に直結しかねない状況です。
逆に言えば、ハイニックスが倒産し、そして製造が停止した場合、サムスンが生き残る可能性も高いと言えるでしょう。
世界的な需要に対してメモリーが多すぎる。
この問題ですが生産調整が必要な状況になっており、どこが脱落するのかがポイントになっています。
かつて日本の半導体メーカーも、そのような半導体の谷で潰れてしまいました。
かつてのエルピーダはマイクロンの工場となっております。
そして東芝メモリー等に関してもキオクシアと社名を変えフラッシュメモリーを生産していますがウェスタンデジタルとの合併等が噂されている状況にあります。
この状況の中でどこかが脱落しない限り半導体市場は反転しない可能性が高い。
そして、その倒産する一番大きなリスクを抱えている会社はハイニックスであると言えるのではないでしょうか。