プーチンの隠し資産は一体いくらあるのか?
ロシア制裁、さてどうなるか、というお話をさせて頂きたいと思います。
ウクライナ危機を受けて、アメリカ、イギリス、そしてEU、日本など西側各国は、ロシアとプーチン大統領周辺人物等に対する金融制裁を課すとしています。
ここで、出て来る言葉というのが、オリガルヒという言葉です。
ロシアの場合、かつて共産主義の国でした。
そのため、企業は全て国有で、国のものだったわけです。
そして、ソビエト崩壊に伴い、エリツィン時代に様々なオリガルヒというものが出来てきました。
これは、国有企業が民営化されたもので、ロシア共産党幹部などが、そこと結託し、国有企業を私物化して行ったわけです。
エリツィン時代に、三十数個出来たオリガルヒですが、プーチンの統治に代わり、プーチンはここに圧力をかけ、解体を進めて行きました。
しかし、オリガルヒが無くなったかといえば、そうではなく、より集約され、プーチンの配下として動くようになったわけです。
現在、ロシアの中に残っている新興財閥、オリガルヒというのは、ほぼプーチンの息のかかったものと考えていいでしょう。
そして、プーチンだけではなく、オリガルヒは、旧KGB、FSBなどの資金源としても動いているわけです。
ガスや電気、鉄道、インフラ、様々ものを、金融まで含めて包括しているのがオリガルヒ。
今回、西側各国は、このオリガルヒに対して、また、オリガルヒと並行する形での銀行に対して金融制裁をかけるとしています。
現在のところ、プーチン氏個人にはかかっておりませんが、今後これは、どんどん拡大される予定となっています。
実は、プーチン氏ですが、世界で最も裕福な人物の一人とされているわけです。
2017年、アメリカ上院でプーチン関係人物が、プーチンの関連資産は、約22兆円以上に及ぶと発言しています。
当然、西側各国、特にアメリカは、その中身を精査しているものと思われ、プーチンの資金が止まる、また、親プーチン派の資金が止まる事は、プーチンにとっては、痛いダメージとなるでしょう。
基本的に国際金融は、アメリカ系と、イギリス系に分かれています。
そして、イギリスシティーは、国際金融センターとして、今も大きな影響力を持っています。
この背後にあるのは、英領タックスヘイブン、英領バージン、ケイマンなど、いわゆるマネーロンダリングの拠点で、これがあるが故に、イギリスは未だに金融において、大きな力を持っているわけです。
今回、イギリスが金融制裁に積極的に参加するとした事は、ここに大きな意味を持っています。
ロシアは、アメリカの影響力の少ないイギリス系のの金融センターを中心に利用して来ました。
そして、イギリス当局としても、その流れというのは、概ね把握していると思われるわけです。
いわゆる兵糧戦に持ち込むという意味においては、オリガルヒに対する制裁というのは、非常に大きな意味を持ちます。
実は、2014年、パナマ文書が発掘された時、プーチンと、プーチン関連人物の資産の相関図が発表されています。
プーチン氏個人は、自分の名前が分からない形で、親族や関連会社などを通じて、また、友人などの名義で資産を保留していると思われ、この相関図が発表されてしまったわけです。
現在、金融解析において、新たなソフトが複数出ており、これは、人物間の相関図のような形で、表される形になっています。
そして、AIなどを駆使し、金融の不正を常にチェックしているわけです。
当然、アメリカ、イギリスなど、様々な国の当局は、この相関図を把握しており、どこをどのように効率的に止めて行ったら効果が高いのか、それを理解しているものと思われるわけです。
また、暗号資産を使ったマネーロンダリングに関しても、既に、FBIがビットコインの資金凍結、そして、回収に成功しています。
その為、仮想通貨の匿名性も、かなりの部分で壊れて来たと言えるでしょう。
ロシアは、仮想通貨などで資金を移動しようと考えてていると思われますが、仮想通貨に関する監視の目も、かなりの部分で強化され、そして、その資金凍結も可能になったというのが、大きなポイントとなると思われます。
2014年、クリミア危機を受け、西側各国は、ロシアに対する金融制裁を発動しました。
しかし、その効果は限定的でした。
これは、金融の監視システムが、また不全であった為であり、現在、この金融監視システムが強化された事で、より効率的な金融制裁が可能となり、プーチン氏や、プーチン氏周辺人物、そして、FSB、旧KGBなどの裏金に手をつける事が出来るようになれば、プーチン氏の支持基盤、そして、支配基盤も、崩壊する可能性すら残っています。
短期的には、このウクライナ危機、プーチン氏の勝利に終わるかもしれませんが、中長期的にみたロシアへの影響、プーチン政権への影響というのは、長い目で見て行かなくてはならない。
逆に言えば、長期化すればするほど、プーチン氏には、不利な状況になっていくのかもしれません。