日本はなぜ衰退し続けるのか?
日本は、最近、衰退したんですね。
日本に馬力があったのは、だいたい1980年くらいまでなんですよ。
90年にバブルが崩壊しましたが、80年くらいから急激に衰退して来た。
それはどうしてかというと、日本の強い所が無くなって来たんですよ。
ヨーロッパのようにして来たわけですね。
なんか、日本の指導層とか文化人がですね、ヨーロッパの方が優れていると思っちゃったんですね。
ヨーロッパも優れている所はあります。
それは、軍事力なんですよ。
もちろん、人間に対する愛情とかですね、そういうのは日本の方が全然上なんですね。
文化も上なんですよ。
人に対する考え方とかですね、他人に対する愛情とか思いやりとか、全部日本が上なんですけれども、ヨーロッパが力が強いもんですからね。
それから、ヨーロッパに留学なんかに行った人が、日本の指導者だったりするもんですから。
留学した人って、どうしても留学の成果を活かさなければいけないという強迫観念に駆られるんですね。
それで、どんどん、どんどん日本を欧米化にしてしまうわけです。
それが、どんどん始まったのが、1970年くらいの石油ショックのあとなんですね。
私はその頃会社員で、びっくりしたのは、会社が、だんだん、だんだん、無味乾燥になって来るんですよ。
今度はあそこの事業部が、従業員ごと売られるらしいよと。
最初は、それを理解できませんでした。
何を言っているのかと。
会社っていうのは、従業員で出来ていると思っていたわけですよ。
ところが、それは、日本の考え方。
日本列島に住んでいる人が、最高位であると。
日本人の庶民が最高位であるという意識ですからね、僕なんかは。
ですから、従業員ごと売る権利なんていうのは、経営陣にあるの?っていう感じなんですよ。
ところが、ヨーロッパとか中国とか、アメリカの思想わですね、力づくの社会ですから。
だから、従業員は、株主の所有物だっていうんですよ。
これはまぁ、ヨーロッパの男の、女に対する考えが、女は、男の所有物だというのと一緒なんですね。
所有物概念なんですよ。
だから、従業員ごと売ると。
そうすると、結局どういう事になるかというと、やっぱり人間ですからね。
会社の為に働くという事をしなくなるんですよ。
会社の為に働くという事はどういう事かというと、私は技術職ですから、例えば、自動車を組み立てると。
そうすると、従業員が会社の為と思ってやっていたらですね、隣の従業員が、ちょっとボルトの締め忘れがあったら、「おいちょっと、そこのボルト、締め忘れているんじゃないか」って、こう言うわけですよ。
ところが、欧米の技術者は、そんな事、言いません。
作業員なんて、絶対に言いません。
自分は自分の言われたことだけをやるだけなんです。
ですから、日本の工業製品の方が品質がいいし、いいんですよね。
つまり、我々は、生産とかサービスをやっている時に、会社の為と思ってやるから良くなるわけです。
日本国の為、会社の為と思ってやるから良くなる。
それが失われますと、駄目になるわけですね。
その後、どんどん、どんどん危険な話が出て来たわけですよ。
日本にはないグローバリゼーション。
会社もですね、現在ではホールディングス。
ホールディングスっていうのは、経営陣で、支配権を持っている人。
だから、もう全然会社に関係が無いんですね。
カネだけでやるんですね。
これは、支配層の概念なんですよ。
支配層の概念。
だから、日本の概念じゃないんですね。
最近では、東京証券取引所わですね、今まで、一部、二部とか、色々やっていたんですけど、それを全部やめて、スタンダードとか、プレミアムとかに変えるんですよ。
これは、外資導入をしやすい為という事なんですが。
外資導入をしやすい為というと、経済をあまり詳しくない人は、「外資導入、いいんじゃないの」って言うんですけど、そうでもないんですよ。
例えば、銀行にどんどん、どんどん外資が入って来て、銀行の株の半分以上を、外国資本が取ったとしますね。
そうすると、そこから指令が来ますよ。
「もっと従業員を働かせろ」
「もっと給料を下げろ」と。
という事はどういう事かというと、日本人が働いたものを、外国人が取るという事なんですよ。
外資導入という事は、言ってみればそういう事なんですね。
ところが、外資導入というかわりに、「日本人が働いた成果を、外国が取る制度を進めています」と言ったら、誰でもちょっとどうかなと思うんですね。
ただ、「外資導入」としか言わなければ、それは分からない。
更にですね、東京証券取引所の会社の分類を、一部、二部から、スタンダードとプレミアムにしますなんていったら、その裏は分からないんですよ。
世界わですね、特定の人達が、もの凄く儲かるように、今、運営されているんです。
それを、国際資本とかですね、それから、なんか政府でもですね、闇の政府みたいな事を言いますよね。
そんな事はあってはいけないんですよ。
闇の政府とか、そういう事を言うという事は、どういう事かと言いますと、結局、民主主義じゃないという事なんですよ。
オモテに表れていないという事なんですよ。
例えばグローバル企業、僕もおいしくて凄く好きなんですけど、マクドナルド。
あれ、おいしいですよね。
僕は、ポテトと、それからビックマックと、それからコーラの組み合わせが好きでした。
だから、マクドナルドが日本にあるのはいいのですが、マクドナルドで稼いだやつの、殆ど全部がアメリカに行くという事になるとですね、ちょっとやっぱり、どうかなと思っちゃうんですね。
そういう点では、色々、考える事があるんですよ。
マクドナルドもアメリカだし。
それからコーヒー屋さんね。
あれもすっかり、欧米のコーヒー屋さんの方が人気がありますね。
日本のいわゆる喫茶店というのが、非常に古かったので、みんながああいった外国の喫茶店が好きになったんでしょうね。
コーヒーがもの凄く好きになったという事もあるんでしょうね。
例えば、ホテルでもですね、昔は日本は第一ホテルとか、グリーンホテルとかいう名前で、旧態依然としていたわけですよ。
確かに、日本にも欠点があるんですね。
どういう欠点かというと、日本のホテルの社長が、ゴルフばっかり、いっていると。
こういうふうな感じだったんですね。
熱海も最近行きますとね、日本人が経営しているホテルって、殆ど無いんですよ。
やっぱり、バブルの時代まで、日本人は熱海に社員旅行に行って、飲めや歌えの宴会をやって、皆でカネを持って、ワーッといかがわしい所に行くなんていうのが、普通だったわけですね。
ところが、それではやっていけなくなった。
会社も変わって来るし。
だから、外国資本が入って来て、日本の刺激になるっていうのはいいんですけど、日本人が働いて得た価値ですね。
価値が全部アメリカに行っちゃうと、いけないんですよ。
これが今は、そういうふうになってしまっているんですよ。
例えば、アメリカに自動車を売っても、その自動車の代金は、アメリカはドルで払いますから、日本はドルでは使えないので、結局それは、宙に浮いちゃうという事もあるんですよ。
こういうやつは、必ず、先進国と後進国の間であってですね。
かつては、イギリスとインドがそうでしたね。
インド人が一生懸命働いて、綿花とか、それをイギリスに納める。
イギリスは、インドの通貨で払えばいいのに、ポンド、つまりイギリスの通貨で払う。
イギリスの通貨なんて貰ったって、インドはどうにもならないから、そのポンドを、イギリスのロンドン銀行かなんかに預ける。
200年くらい預けていた。
そうしたら、突如、ポンドを、バンと切り下げてですね、殆どタダ同然で、200年間のインド人の働いた成果を、イギリスが取っちゃったわけですね。
そういうふうになっちゃった。
つまり、日本人の、タダ働きなんですね。
それで、円高になるといけないと言うけれども、これは、円高になった方がいいんじゃないですかって言われたのは、昭和天皇なんですね。
円高という事は、日本人が持っている円が高くなるわけですからね。
いいわけですよ。
ヨーロッパ、アメリカは、力づくの社会。
力づくの社会では、グローバリゼーション、ホールディングス、それから、外資導入なんかは、いい事なんですよ。
つまり、世界のもの凄く少ない人達が、世界の富の殆どを取るというね。
そういう事ですね。
だから今、日本の会社が衰退している一つの原因わですね、従業員中心の会社じゃなくなったという事ですよ。
これを難しく言うと、従業員の給料をコストで処理する。
コストじゃないんだと、そういうふうに思ってやっておられる、立派な経営者も、中企業くらいまではいるんですけど、大企業になるとね、やっぱりカネ、カネ、自分だけ、という人だけになる。
それはもう、日常生活が、そうなりますからね。
いいワインを飲んで、外国にファーストクラスの飛行機で行って、という生活をしますとね、やっぱりもう、庶民の生活に戻りたくない。
やっぱり世界の、国際金融資本に、同調していくという事になるんですね。
それが、日本の衰退の原因である。
商法を改正しなければいけない。
政治としては、どうしても商法の改正が必要ですね。
株主が全権を持っているというのは、力づくの制度ですから。
それを、従業員が力を持つように、商法を変えなければいけない。
これは、家庭では、奥さんの、お母さんの労働を、労働と認めるという事と同じ事ですね。
これは、全面的に、少しずつでもいいですから。
社会体制ですから、あまり一変には変わらないんですけど、少しずつでも変えて行く必要があると思います。