米国の民主主義が着々崩壊している現実!後追いするカオスな世界!※伊藤貫先生に学ぶ※

米国の民主主義が崩壊している現実

一体、世界はどうなっているのか。

なによりもアメリカ、それから日本はどうなっているのか。

ウイルス、オリンピック、アメリカの大統領選挙、様々な事が起こっていますが、まさに世界はカオスに入っていると、言っていいような状況にあると思います。

このとても危ない状況を、日本人は、ちゃんと理解しているのかどうか。

特に、政治家や経済人ですね。

カオスというものを、考えていないんじゃないかと。

様々な潮流が生まれ、争っていると。

このような状況は、戦後、初めての事だと思うんですね。

それが全く日本の政治家や、保守系の文化人とか、ジャーナリストというのも、ついていけなくなって来ていると。

極めて危ない状態というか、元々危ないんですけれども。

今一体、世界はどういう状況になっているのかと。

まず最初に言いたいのは、国際政治には、国際政府とか、世界裁判所とか、そういうものは無いと。

2つ目に、世界共通の文明規範とか、世界共通の道徳規範というのは、実は、過去3000年間、一度も存在しなかったと。

日本人にしても、アメリカ人にしても、ヨーロッパ人にしても、誤解しているのは、自分たちがやっている民主主義システム、それから自由主義と資本主義のイデオロギーですね。

これが、世界共通だと思っているんですよ。

だけど、過去2500年の世界の文明史を見ると、自由主義、民主主義、それから資本主義というのが、人類に共通の価値規範だという、そういう証拠は、どこにも無いんですよ。

少なくとも、アメリカにはやっぱり賢い人がいまして。

例えば、英文学者で、詩人で哲学者の、T・S エリオットとか。

それから、戦略家だった、ジョージ・ケナンとか。

それから、十数年前に亡くなった、ハーバードのサミュエル・ハンティントン。

今言ったような、エリオットとか、ケナンとか、ハンティントンなんかは、世界共通の文明とか、世界共通の道徳基準が、あるわけないと。

だから、世界で共通する統治システムというものは、無いんだと。

その地点から見ると、例えば、最近、アメリカの国内政治がガタガタになっただけではなくて、ヨーロピアンユニオンですね。

西洋共同体なんかも、ポーランドとか、ハンガリーとかは、フランスとかドイツの言う事を聞かなくなったでしょ。

というのは、ヨーロッパの共同体の中で、既に文明の衝突というものが起きているわけですね。

ハンガリーもポーランドも、最近はチェコ辺りも、要するにフランスとかドイツの文明の基準を受け入れるつもりはないと。

僕の目から見ると、ポーランドとかハンガリーが、そういうふうに反発するのも、それなりの理由があるわけで。

例えば、ちょっと話が細かくなりますけれども、バイセクシャル、トランスジェンダー、なんたらかんたら、という問題ですよ。

ああいうのも、カトリック文明圏においては、受け入れられないんですよ、それは。

ゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、なんたらかんたらと言うのは。

聖書にちゃんと書いてありますからね。

それを、ヨーロピアンユニオンは、ポーランドとかハンガリーの国内問題を、ヨーロッパの人権裁判所で裁判して、ポーランドとかハンガリーの政府を処罰出来るとか、言い出したわけでしょ。

ちょっと話がちっちゃくなっちゃいましたけれども、世界全体で見ても、もう一度繰り返しますけど、自由経済システム、資本主義システム、それから民主主義というものが、世界共通の文明規範というコンセンサスは、どこにも無いわけで。

しかも、アメリカ国内において、そのコンセンサスが、崩れつつあるんですよ。

例えば、最近、アメリカの黒人が言っている、クリティカルレースセオリーとかいうのがあるんですけれども。

これは要するに、アメリカ社会全体が、同じような法の下での平等という政策を実行しても、黒人だけが、差別されるというか、要するに同じ結果を得られないから。

だから、社会全体に、バイアスがかかっていて、法治主義、それから、法の下での平等という原則を黒人にあてはめるだけでは、社会正義と言えないと。

そうすると、法の下での平等という法治主義自体を、黒人自体が拒否する方向に行くんですね。

例えば、一番凄いと思ったのは、正確な数字は忘れたんですけれども、アメリカ全体の経済資産が、六十数兆ドルあるとしたら、そのうちの12%は、黒人によこせと。

で、黒人がどういう教育を受けて、どういう仕事をしてるかは別にして、とにかく12%なんだから、国の資産、国の富の12%は、我々黒人が貰う権利があると。

これって、クリティカルレースセオリーからすると、正統化出来る議論らしいんですね。

だけど、もしそれを本気で実行するんだったら、もう資本主義制度も、自由主義制度も、法治主義制度も成り立たないんですよ。

それで、アメリカ国内で、そういう議論をする人が、大っぴらに増えて来たと。

ご存じの方もおられると思いますけど、今、アメリカの連邦議会が、何にも決められないんですよ。

民主党が大統領になって、上院の多数派も、下院の多数派も民主党になったんですけれども、まともな法案が通らないと。

そういう価値観とか、文化的な基準とか、そういうものが、アメリカ国内で無くなったものですから、だから、キャンセルカルチャーってあるでしょ。

キャンセルカルチャーっていうのは、要するに、あんたの言う事には耳を貸さないと。

もしくは、あんたには発言権が無いんだと言って、相手の発言を、最初から拒否する態度ですね。

キャンセルカルチャーをやられたら、最初から、議論しても無駄だっていう事ですから。

民主党が、本気でキャンセルカルチャーをやるんだったら、民主主義は、もう、やっていられないわけですよ。

民主主義はだって、みんなが話し合って、投票して決めるプロセスですけれども。

向こうは、もう最初から話し合うのは嫌だと。

あんたの話を聞いても無駄だと。

もしくは、あんたには発言の資格が無いから、あんたには発言させないと。

こういうふうに出て来るわけでしょ。

これはね、もう、国家がまとまらないわけです、最初から。

世界全体が、もちろんカオスになっているんですけれども、ヨーロピアンユニオンだって、まとまらなくなって来たし。

アメリカ国内も、バラバラになって。

しかも、世界中の国で、マスコミに対する不信感が、一番強いのがアメリカなんですよ。

最近の世論調査によりますと、6割から7割のアメリカ国民が、マスコミを全然信用しないと。

日本はせいぜい、3割くらいなんですよ。

だけどね、アメリカは、6割から7割の国民が、マスコミの報道は、最初から信用しないっていうんだったら、これはもう、議論が成り立たないわけで。

だからもう、そういう所から来て、僕はもう、民主主義と、自由主義と、法治主義と、資本主義をベースとしていけば、世界でグローバリゼーションが起きると。

グローバリゼーションが出来て、ユニバーサルシビライゼーション。

要するに、普遍的な世界文明が出来るという、最近30年間の前提ですね。

これはもう、完全に崩れています。

グローバリズムと反グローバリズムと。

こういう仕分けの仕方は、大枠では間違っていないかもしれないけれども。

もう一つは、文明と文化の戦いという衝突が起きているという。

文化というと、伝統とか、色々なものを民族などによって作り上げられたものと、いわゆるグローバリズム化した文明論みたいなもの。

この文明と文化の衝突もあるという要素が、実は凄く欠けている感じがして。

民主党の中だけでも色々とあるし、アメリカの中でも、人種の問題と、単なるイデオロギーの右だ左だという話も全くない、色んなものが衝突しあっているという現実を、直視しなければいけない。

日本も、似たような事が起きているんだけれども。

全く自覚されていないんですよね。

文明と文化というのは、必ずしも、同じものではなくて。

日本のいわゆる親米派とか、日本のビジネスマンとか。

アメリカが、世界に採用させようとしているアメリカ的な資本主義文明ですね。

これが、世界中で通用するものだと思っているんですよ。

ところが、アメリカ的な資本主義っていうのは、アメリカという、最初から文化の無い国で、成長したシステムなんですよ。

だって、アメリカという国は、イギリス人が1607年に移って来て、インディアンを虐殺して、1619年からは、黒人を、アフリカ人を輸入して、奴隷にして。

そうすると、最初から、インディアンと文化を共存しようというつもりはないし。

それから、アフリカ人、なんていうのは、動物扱いにして、奴隷にしているわけですから。

これもまた、文化を作ろうなんて気持ちは、無いわけですよ。

要するに、アメリカ人というのは、1630年代になって、マサチューセッツの方にも移入を始めましたけれども。

17世紀の前半期に、国を作った時から、お金儲けをすればいいというのが、最初の移民のモチベーションだったわけですね。

文化というもの自体は、トクヴィルが、1840年に、アメリカの民主主義という本を書いたんですけれども。

トクヴィル自身が、アメリカには最初から、文化なんてものは無いと。

それから、文学なんていうものも無いと。

アメリカ人は、文化とか文学とかには、興味がないんだと。

それからもう一つ、トクヴィルが言ったのは、ヨーロッパには、アリストクラシーというものがあると。

アリストクラシーというのは、単にお金持ちではないと。

要するに、教養とか、指導者能力とか、そういうものを積み上げて行って、指導者階級と。

日本で言うと、君主階級と。

インドで言えば、ブラーミン階級ですよね。

そういうものを作ったんですけれども、トクヴィルに言わせれば、アメリカには、金持ち階級というものはあると。

だけど、この金持ち階級には、文化というものは全然無いと。

だから、ヨーロッパと違って。

ヨーロッパというのは、上層階級とか、アリストクラシーというのは、カネを持っていれば、それでアリストクラシーになれるわけでは無いんだと。

ところがアメリカでは、要するに、一番金持ちの階級でさえ、文化的には、労働者階級とか、ミドルクラスと同じような感覚しか持っていないと。

だから、アメリカっていうのは、最初から文化なんて関係ないんだと。

要するに、資本主義文明があるけど、文化っていうのは、無いんですよ。

それで、問題は、グローバリゼーションといって、アメリカスタンダードをベースとする、資本主義制度を、世界中に広げると、世界中の文化が、壊れてしまうんですね。

要するに、アメリカっていうのは、金が儲かるか、儲からないかという、そういう基準だけで、どこに町を作って、どういう教育をしてというのを、全部決めますからね。

そうすると、世界の200カ国の持っている独自の文化というのは、全部、目先の金持ちの金儲けに、プラスになるか、マイナスになるかという基準だけで、どんどん、どんどん解体されて、別の物に作り変えられますから。

世界の数百の民族の文化というのは、アメリカ的な資本主義文明に巻き込まれると、全部破壊されちゃうんですよ。

要するに、アメリカ人というのは、それが分からないんですよ。

アメリカ的な資本主義を、他の国に押し付ける事が、他の国の文化を破壊する事に繋がるという事を。

それで、例えばアフガニスタンに、アメリカ主義を押し付けようとして、全く通じなかったと。

それで、逃げ帰って来たでしょ。

で、もう、世界中でそういう事をやっているんですね。

最近アメリカは、中国とロシアを権威主義体制であると。

それに対抗する民主主義体制のグループが、中国とロシアを包囲するという事を言い始めていますけれども。

でも、先ほど言いましたように、T・S エリオットとか、ジョージ・ケナンとか、サミュエル・ハンティントンなんていう、アメリカの賢い人たちは、そういうやり方は、うまくいかないと。

そもそも、アメリカの民主主義自体が、かなり危なくなっているわけですね。

2020年の大統領選挙だって、本当に、正しくルールを守って行われたものか、それとも、民主党はインチキをやって勝ったのか、未だに不明なわけでしょ。

司法省もFBIも、一切、捜査をしなかったわけでしょ。

だから、アメリカの国民の4割は、未だに、バイデン大統領は、正統的なプロセスによって選ばれた大統領ではないと思っているわけでしょ。

しかも、最近は、アメリカの軍隊に所属している兵隊の、やっぱり4割か5割が、バイデンは正当な大統領ではないと思っているらしいんですね。

極めて危険な状況ですよ。

国家の軍隊の兵隊の半分が、あいつはインチキをして大統領になったんだと。

12月のワシントンポストに、3人のリタイヤした陸軍の将軍クラス、大将とか、中将の人が、コラムを書いていて。

このままで行くと、アメリカの軍隊が、クーデターを起こしかねないと。

それはやっぱり、4割か5割の兵隊さんが、バイデンはインチキをして勝ったんだと内心思っていると、そういう事に成りかねないと。

それとは別に、やっぱり、FBIと、ナショナルセキュリティエージェンシー、アメリカ国家安全保障局が、アメリカの現役の兵隊の、e-mailとか、Facebookとか、ああいうのを、一生懸命調べているらしいんですね。

中国も真っ青な状態で。

それで、e-mailとか、電子メールとかFacebookに、バイデンをけなしたり、トランプを、応援をするような事を書き込むと、こいつは要注意だと。

将来、クーデターか、暴動に参加するかもしれないというんで、アメリカの兵隊さん自身が、FBIの捜査対象になっているんですよ。

習近平政権が、アメリカの民主主義って、一体、なんなんだと。

ケチをつけて、色々な事を言っていましたけれども。

結構、同じような構造になりつつあるというね。

ある人は、アメリカも中国も、根本的な構造は同じなんだと。

特に、IT系の物が進歩すると、余計、そういう形になって行くという。

そして、目標は何かというと、カネと権力というね。

これがベースになっているんで、そこに、文化が入る余地が無い、というわけですね。

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