急激な円安になぜ進んでいるのか?※渡邉哲也先生に学ぶ※

なぜ急激な円安に進んでいるのか

なぜ急激な円安に進んでいるのかという事について、ご説明をさせて頂きたいと思います。

2022年は、北京オリンピックと、5年に1度の中国共産党大会の年になります。

また、中国のバブル崩壊や、台湾問題など、よくも悪くも、中国が話題の中心になる年となるでしょう。

そのような中で、現在、もう一つの大きな問題として起きているのが世界的な資源インフレです。

石油の値段、そして、天然ガスの値段、さまざまな物の値段が上がって行っている。

この原因といえるのは、アメリカの量的緩和、そして、世界的な量的緩和による影響も大きいわけです。

通貨の値段、通貨の価格というのは、量とリスクで決まります。

コロナの感染拡大に伴い、世界中の中央銀行は、量的緩和、つまり、お金をじゃぶじゃぶ刷ったわけです。

それに対して、物の量は変わりません。

物の量が変わらない中で、お金を刷れば、お金の価値が物に対して落ちるという事になるわけです。

特に、資源通貨であるドル、石油や資源、様々な穀物至言などを決済する通貨、ドルの増刷は、世界的なインフレの大きな要因になっています。

そんな中、アメリカでは、バブルも起きているわけです。

お金を沢山刷った事により、それが、過剰流動性という形で、投機側面に大きく流れ、物の値段、株式や不動産の値段を急激に押し上げている。
そして、雇用の状況は、コロナの感染拡大の収束により、改善されつつあるわけです。

このような状況の中で、アメリカはテーパリング、量的緩和を縮小し、そして、利上げをするという選択をしようとしています。

アメリカのドルの量が減っていく。

それに対して、日本の円の量は、まだ減っていない。

つまりこれが、円安の原因なわけです。

ドルは減る、円は減らない。

つまり、この差の部分が、円安として反映される。

日本の場合、量的緩和の縮小は、徐々には行われるでしょうけれども、日本銀行が、大量に日本国債を買っている状態にあり、この状況では、日銀に赤字が出てしまいます。

ですから、なかなか利上げが出来ない状況にあるわけです。

そのような側面からも、円が売り込まれる状況になります。

通貨の価格というのは、金利差で決まり、アメリカの金利が上昇局面にある中で、日本の金利がつかないという事になれば、日本の円もドルに換えて、そして、アメリカに流れて行くという事になるわけです。

この過程で、円売りドル買いが起きて、円安ドル高に進む。

この負の連鎖が起きているのが現状です。

本来、円安は輸出産業など、日本企業にとってプラスの側面も多いわけですが、現在、半導体不足や、部品不足により、輸入がなかなか出来ない状況にあります。

日本企業としては、日本国内で物を作って輸出したくても輸出出来ない。

つまり、円安のデメリットだけが、日本経済を襲うリスクもあるわけです。

円安になれば、ただでさえ物の値段が上がっている中で、為替効果という形で、為替の分、輸入物価が上がっていく。

それが、国内の全ての物価を押し上げていく事になります。

いわゆるインフレと言われるものですが、インフレに関して、本来はコアコアという事で、生鮮食品や、エネルギーを除く価格で評価するというのが一般的ではありますが、エネルギー価格の上昇は、全ての物の値段を間接的に押し上げる構造にあります。

その意味において、この円安は、決して、日本経済にとって、よいものとは言えないと思われます。

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