核武装に着々と進む韓国
ワシントンポストの評論ページにジェニファー・リンドと、それから、ダリル・プレスという、2人共、ダートマス大学、一応、名門校なんですけれども。
この名門校の国際政治学の教授をやっている2人が、韓国は、核武装に向けて着々と準備をしていると。
しかも、韓国が、今置かれた状態では、核武装をせざるを得ない状況にあると。
だから、はっきり言って、2人共、正しいとは言っていないんですけれども、韓国は、核武装をするのはやむを得ないと。
しかも、韓国が核武装をしたら、アメリカ政府は、それを支持すべきであるという評論を書いているんですね。
非常に、だいたんで。
なんで、この評論を紹介するかというと、僕が、過去30年間、言っていたことと、全く同じ事を、この2人が言ってくれるから、僕は、凄く嬉しくなったわけですね。
要するに、僕も日本は、核兵器を持たなければ駄目だと。
持たないと、日本は潰れるというのが、僕の持論ですから。
ダートマス大学の国際政治学の学者の2人が、要するに、韓国に対するそういう議論をしているわけですね。
この2人が、韓国に対して、今の韓国は、核武装をする必要があると言っている議論は、現在の日本にも、そっくりそのまま適用されるんですね。
だから、この議論を読めば、サウスコリアって書いてあるところを、ジャパンっていうふうに読み替えれば、今の日本が、なぜ核保有すべきであるかという事が、そっくりそのまま分かるような議論になっているんですね。
インターネットで、2021年10月10日のワシントンポストを見て頂ければ、この2人の評論を読むことが出来ると思います。
彼らが、この評論で言っている事の、要点だけを説明しますと、まず、北朝鮮はすでに、アメリカを直撃する水爆弾頭と、ミサイルを持ってしまったと。
この北朝鮮が、アメリカを直撃出来る水爆弾頭を持つという事は、リスクの計算を、根本的に変えてしまったと。
なぜならば、もし今後、朝鮮半島の紛争にアメリカが巻き込まれるならば、それは、アメリカにとって大惨事になりかねないと。
北朝鮮はすでに、移動式のISBMを持っていて、アメリカを直撃出来ますから。
しかも、水爆弾頭を数十発、60発か70発、持っているわけですね。
水爆弾頭というのは、一発だけで、数百万人殺せるわけです。
原爆というのは、数十万人ですけれども、水爆は、数百万人殺せるわけですね。
それを、何十発も持っているわけですから。
そんな国との軍事紛争に、アメリカが巻き込まれると、とんでもない事になると。
要するに、北朝鮮が核を持ったおかげで、アメリカの立場は、圧倒的に不利になったと。
もしくは、北朝鮮との戦争に巻き込まれるとどうなるか、計算が不可能になってしまったと。
アメリカ国民は、このような核武装をして、アメリカ本土を攻撃出来る能力を持った北朝鮮と、武力衝突をする事を全く望んでいないと。
だから、今後もし、朝鮮半島で武力衝突が起きた場合は、ワシントン政府が、即座に駆けつけて、軍事紛争に巻き込まれるという行動を取るとは、考えにくい。
それで、彼らが言うには、アメリカ政府は、ヨーロッパとの同盟関係で、いわゆるニュークリアシェアリングをしたから、韓国とも、ニュークリアシェアリングをすればいいではないかと、いう意見を言う人もいると。
具体的に言うと、アメリカの核兵器を、韓国に持ち込む事であると。
しかし、それは機能しないと。
要するに、ニュークリアシェアリング、核の持ち込みは機能しないと。
で、アメリカ政府が、アメリカの核ミサイルなり、核弾頭を、韓国とか日本に持ち込んでも、それは、本当のニュークリアシェアリングにはならないと。
なぜならば、例え持ち込んで、ニュークリアシェアリングという外形を整えたとしても、実際に、その核兵器を使うか、使わないかの最終決断は、アメリカ大統領が握っていると。
韓国の大統領とか、日本の総理大臣が握っているわけではないと。
もし、例えば韓国が、核武装したロシアとか、中国とか、北朝鮮に攻撃した場合、アメリカ政府が、韓国政府に、韓国に置いてある核ミサイルを使用する決断をするならば、それは結局、アメリカが、ロシアと中国と北朝鮮という核武装国と、最終的には、核戦争をする事態になると。
アメリカの大統領は、例え、核ミサイルを、日本とか韓国に置いておいたとして、ニュークリアシェアリングという外形を整えたとしても、アメリカが、そんなロシア、中国、北朝鮮と核ミサイルの撃ち合いになるような結果となる、核兵器の使用を許すわけがないと。
だから、ニュークリアシェアリングはフェイク。
インチキだと。
アメリカ大統領が、絶対に、核ミサイルを韓国と日本に置いておいたとしても、核武装国と核戦争に巻き込まれる事に繋がる行為は、絶対に許さないと。
日本の総理大臣とか、韓国の大統領が、韓国なり、日本においてある、核ミサイルを使用するような行動は、絶対に許さないと。
だから、意味がないと。
韓国にとって、やはり、今の状態、3つの核武装国に包囲された現在の状態で、自分の国の防衛をする為には、核を持つ以外にないと。
しかも、中国の軍事力は、着々と増加していると。
だから、中国の軍事力に、韓国が屈服せずに、自国の独立を維持するためにも、韓国は、自主的な核抑止力を持つ必要があると。
しかも、韓国政府が、このように核武装する事は、核不拡散条約に、違反することにはならないと。
これが面白いですよね。
なぜならば、核不拡散条約の第十条には、自国が、異常な事態において、自国の最高の国益を、危険に及ぼすような事態に陥った場合、その核不拡散条約に参加した国は、核不拡散条約から脱退して、核武装する権利が認められていると。
第十条というのは、そういう意味であると。
で、この2人が言うには、現在の韓国は、既に、この核不拡散条約の第十条が適用される立場に置かれていると。
従って、現在の韓国が、核不拡散条約から撤退して、核武装するのは、合法的であると。
国際法違反ではないと。
正当な理由があると。
彼らに言わせると、韓国の前外務大臣のソンミンスンが、韓国が核保有しようとするのは、朝鮮半島において、韓国自身のニュークリアバランスを構築する為であると言っていると。
彼らはそれに賛成しているわけです。
僕も、これは正しいと思いますね。
要するに、北朝鮮が核ミサイルを、どんどん、どんどん増産しているんだから、韓国としても、朝鮮半島におけるニュークリアバランスを構築する為には、自分の国も持たざるを得ないと。
この2人は、正直に、この事を認めて、そして、ソンミンスン前外務大臣が、そう言っているのに賛成しています。
で、彼らに言わせれば、韓国の世論調査によると、韓国国民の7割が、韓国が核保有する事に賛成していると。
従って、アメリカ政府は、このような状況におちいった韓国が、自主的な核抑止力を持つ事に、反対すべきではないと。
賛成すべきであると。
要するに、韓国が独立した核兵器を持つ事に賛成すべきであると。
なぜならば、このような事態を作り出した責任は、北朝鮮にあるのだから、アメリカは、北朝鮮を責めるべきであって、核保有する韓国を、責めるべきではないと。
悪いのは全て北朝鮮だと。
そういうふうに、この2人は言っているわけです。
で、僕も、100%賛成で。
彼らに言わせれば、韓国政府は、着々と、自主的な核抑止力を構築する方向に向かっていると。
しかも最近韓国は、SLBM、潜水艦から発射する弾道ミサイルの実験に成功しましたよね。
あれも、要するに、潜水艦に置いておく核ミサイルというのが、一番確実な、抑止力ですから。
韓国は、それに向かって、着々と進んでいる証拠であると。
で、彼らはそれに賛成しているわけです。
僕も、30年前から、日本は核を持つべきだし、もしも、日本が持つとしたら、それは、地上に置いておくICBMではなくて、SLBMを潜水艦に置いておくべきだと。
これは、何百回も、言ったり、書いたりしているわけですけれども。
韓国政府も、まさに、そっちの方向に進んでいるわけです。
僕は、韓国という国は、慰安婦問題かなんかで、喧嘩を吹っ掛けて来るんで、辟易しているんですけれども。
少なくとも、この核保有問題に関して言えば、韓国政府は、アメリカの核の傘っていうのは、頼りにならないと。
しかも、アメリカが買えと言ってきているミサイル防衛システムですか。
あれは既に、中国も北朝鮮もロシアも、ミサイル防衛システムを無効にする、無能にする核ミサイルを開発していますから。
あんなものに、日本人が何兆円お金を出しても無意味であると。
韓国政府は、その事を分かっているわけですね。
だから、アメリカから、核ミサイル防衛システムを買えばいいとか、そういうマヌケな議論はしないわけです。
で、韓国人は、現在のような状況では、核不拡散条約から撤退して、潜水艦をベースとした自主的な核抑止力を持たざるを得ないと。
これも、100%正しいわけですね。
だから、僕が、韓国人が好きか嫌いか、という事とは全く別に、この問題に関しては、韓国人の言っている事は正しいと。
しかも、韓国人は、すでにそれを、実行に向けて進んでいるわけですね。
それに比べて、日本人はどうかというと、議論さえしないわけでしょ。
日本の保守派で、例えば、マスコミで、読売でも産経でも、どこでもいいけれども、核の傘が機能しないという事を、きちんと議論するメディアはあるのかと。
ニュークリアシェアリング、核の持ち込みなんかはうまく行かないと。
要するに機能しないと。
なぜならば、アメリカ大統領は、結局の所、自分の国が核ミサイルの撃ち合いに巻き込まれるような、核ミサイルの使用に賛成するわけがないから、ニュークリアシェアリングとか、核の持ち込みといっても、そんなものは、核抑止力にならないわけですよ。
韓国人は、その事を分かっていると。
しかも、核不拡散条約から、韓国が撤退するのは、極めて正当であると、韓国人は分かっているわけでしょ。
だから、この議論を読むと、韓国人の方が、日本人よりも、はるかに理性的な議論をしているんですね。
言っちゃあ悪いんですけれども、日本の護憲左翼だけではなくて、いわゆる親米保守。
僕は、拝米保守っていうんですけど。
米国崇拝の保守ですね。
なんでかっていうと、日本の保守っていうのは、アメリカ人の前で土下座して、アメリカ様は凄いと。
アメリカ様のいう事は、全部聞かなければいけないと。
アメリカ様の言う通りに、日本は核を持たないと。
アメリカ様の言う通りに、ミサイル防衛システムを買っていればいいと。
全部もう、アメリカのいう事しか聞かないわけでしょ。
自分でなんにも考えないわけ。
だけど、この評論によれば、韓国人は、自分でちゃんと考えているわけですよ。
で、核の傘なんか、フェイクであると。
役に立たないと。
アメリカの核ミサイルを持ち込んでも駄目だと。
アメリカから、もの凄く高額なミサイル防衛システムを買わされても、そんなものは役に立たないと。
韓国人は、ちゃんと分かっているわけです。
だから彼らは、着々と自主的な核抑止力を構築する方向に向かっているわけですね。
韓国人が好きか、嫌いか、それは別として、僕は、韓国人のこういう、きちんと自分の国は自分で守るという方向に進んでいるのは、非常に立派な事であるというふうに思います。
そういう議論を全く出来ない日本の保守派。
日本の保守派の月刊誌というのは、もうね、核戦略議論とか、国際政治学とか、過去500年間の国際政治史とか、そういうレベルの議論じゃなくて、はっきり言って、中国の悪口、韓国の悪口、北朝鮮の悪口、左翼の悪口、それから、朝日新聞の悪口、NHKの悪口と。
日本の保守派の言論人というのは、周りの国の悪口を言うか、左翼の悪口を言うだけで。
要するに、悪口を言う以外に、なんの脳みそも持っていないわけでしょ。
だから、日本のそういう周りの国の悪口を言って、左翼の悪口を言って喜んでいるだけの保守派っていうのは、こういうきちんとした、少なくとも、きちんとした議論をしている韓国人に比べて、日本の保守派というのは、よっぽどレベルが低いと。
知的な誠実さというか、知的なきちんとした態度というものが無いわけです。
もちろん、自民党の政治家にもそんなものはないし。
それから、驚くべきことに、外務省と、防衛省と、自衛隊も、今紹介した、韓国のような議論が出来るかというと、全く出来ないでしょ。
だから、霞が関の役人と日本の自衛隊の最高幹部ね。
あの連中が、凄く出来が悪いわけです。
本当の議論をしないわけです。
だから、周りの国が、少なくとも3つの国が核武装して、韓国も、核武装の方向に向かっていると。
それにも関わらず、日本の外務省、防衛省、自衛隊は、なんの議論もしないわけですね。
だから、もの凄く日本のレベルは、特に、日本の保守派のレベルが、僕は、凄く低いと思いますね。
日本の保守派に言いたいのは、中国の悪口とか、韓国の悪口とか、北朝鮮の悪口とか、そういう事ばっかりやっていても、日本はどんどん沈没していくと。
そういうくだらない議論をやるよりも、自分たちが置かれた状況を、もっと論理的に、理性的に分析して。
それで、今の日本は、自主的な核抑止力を持たざるを得ない状況に追い込まれていると。
しかも韓国は、既にその事に気が付いて、その方向に向かっていると。
そういう事を認識して、日本が自主防衛をする方向に、国内の世論を向けて欲しいというふうに思っております。