フジメディアHD 外国人議決権比率の問題
今問題になっているフジメディアホールディングスの外国人議決権比率の問題について、お話をさせて頂きたいと思います。
日本の放送法では、放送事業者等の外国人の議決権の比率を、20%以下にしなくてはいけないと定められています。
よく誤解されているのは、外国人の持ち株比率と、外国人の議決権割合、これは大きく異なります。
外国人は株式を自由に買う事が出来ます。
しかし、放送法において、外国人の議決権の割合は20%以下でなくてはならないとされており、20%を超える事が出来ないわけです。
ここで2つの数字が出てきます。
これは、外国人の持ち株比率。
全体の株式のうち、何パーセントを外国人が保有しているか。
それに対して、議決権比率。
これは、全部の議決権、株式の議決権において、外国人が何パーセントの議決権を持っているか。
これは、全く異なります。
放送事業者は、放送法に違反しないように、20%を超えない状況にしています。
これは、外国人が株式を買った場合、名義書き換えという名義を書き換える作業があります。
これを拒否する事によって、20%を超えない状況を作って来たわけです。
多くの事業者は、ギリギリの19.9%までしか議決権を与えていません。
しかし、今回の問題は、フジテレビが親会社、子会社との関係で、子会社を買収した事によって議決権が消滅し、結果として20%を超えた状態にあった事にあります。
フジメディアHDの隠蔽工作
そして、もう一つの問題としては、それを隠蔽した事にもあります。
外国人の議決権割合が、20%を超えた場合、放送免許は取り消しになるとされています。
ですから、そのような状態が生じた事自体が間違いであり、また、そのような状態が生じた場合、会社の存続に大きな影響を与えるので、IR、公表してその責任を問われなくてはならなかったわけです。
しかし、これを隠蔽しました。
これは、放送法だけではなく、旧証券取引法、現在の金融商品取引法における会社存続の危機にあたる状況でも、情報開示をしなかったという意味で、そちらの処分が下る可能性がある行為となっています。
今回の問題ですが、実はフジテレビではなく、フジメディアホールディングスの問題です。
今、多くの放送事業者は、持ち株会社を作り、その下に様々な放送事業社を置いています。
例えば、フジメディアホールディングで言えば、有名な所では、フジテレビ、そしてニッポン放送などがそれにあたります。
この免許は別で、フジメディアホールディングスというのは、認定放送持株会社という様々な放送事業者を持っている持ち株会社という事になるわけです。
今回の問題ですが、問題になるのはこの持ち株会社の外国人の議決権割合が20%を超えている事。
つまり、直接的には放送法166条により、このフジメディアホールディングスは、保有しているテレビ局など、機関放送事業者の株式を手放さなくてはならない、となるわけです。
しかし、この問題ですが、外形的には別会社となっていますが、実質的にはフジメディアホールディングスとフジテレビなど、様々なフジ系の放送事業社は一体として運営されており、
この放送免許そのものも、取り消しの可能性があるわけです。