大物キャスターの降板
この3月に関しても、多数のワイドショーなどが廃止、または大物キャスターの降板という形で大規模な番組再編が行われる予定になっています。
これは、テレビの政策が予算が先にあり、そして番組編成が行われるという構造にある事に起因します。
まずテレビにおいては、タイムと呼ばれる番組への直接スポンサーを募集します。
そしてそのスポンサー収入によって、そのテレビの枠によってどれだけの予算が付けられるか、どれだけの利益が出るか、というのが決まるわけです。
その上で、スタッフィングして行くわけですが、スタッフのギャラが高すぎて、最初から赤字という状況では、番組編成が出来ない。
だから、大物のキャスターなどの解任が話題になったわけです。
イベントが出来ないテレビ局
このような状況の中で、主力とされている不動産事業に関しても、イベントが出来ない、という大きなジレンマに陥っています。
例えば、テレビ局の不動産収入。
お台場にしても、赤坂サカスにしても、そこで繰り広げられる各種イベントがベースとなっています。
イベントがあるからペナントが入る。
ペナントがそして集客する。
テレビ局とイベントというのは一体であり、これを仕切って来たのが代理店、という構図でもあったわけです。
このイベントの中止により、代理店、テレビ局、そしてそれを請け負って来た芸能事務所。
この3社が苦境に立たされている。
つまり、ビジネスモデル自体が、全て成立しなくなって来ているというのが今の状況と言えます。
鬼滅の刃が切るメディアのビジネスモデル
そして今回、大きな事が起きました。
大ヒットとなっている鬼滅の刃ですが、これをビジネスモデル的に判断すると、テレビ局にとって非常に厳しい現実が見えてきます。
また、広告代理店にとっても非常に厳しい現実が見えてきます。
これまで大型映画、大型人気アニメというのは、製作委員会方式と言って、代理店が中核となり、製作会社、テレビ局、そして映画会社などを巻き込む形で共同出資し、そしてその利益を分配する構造になっていました。
また、テレビタイアップという形で、テレビの連続アニメの映画版を作る事によって利益を更に得る、という構造になっていたわけです。
ここにはテレビ放映したテレビ局も深く関わっていました。
しかし、鬼滅の刃に関しては、アニプレックスという枠で、テレビ局に縛られない形で放映されました。
また、その放映の主体も、ネットストリーミング、Huluやネットフリックス、アマゾンプライムなどが中心で、そこで人気に火が付いたわけです。
今回、映画版鬼滅の刃に関しては、代理店無しで、著者、集英社、アニプレックス、そしてユーフォーテーブルという製作会社。
これだけが著作権者であり、そこに代理店は絡んでおりません。
つまり、これまで代理店が仕切り、全て収益を分配するという構造であったメディアのモデルそのものが、今回、否定されてしまった事になるわけです。
これからどうなるか分かりませんが、テレビ局の従来のビジネスモデル。
そして、メディア全体のビジネスモデルが瓦解しかかっているという事は確かでしょう。