不動産バブルに対する中国政府の姿勢
このような状況の中で、中国政府はこれ以上不動産バブルを膨れ上がらせるのは危険だと判断しました。
その上で、一部の都市に関しては、中国政府が価格ガイドラインというものを設け、それに以上高い値段で売却する事を禁じるという事を始めたわけです。
例えば、深センにおけるガイドラインでは、現在の時価のだいたい35%前後の割引率が上限とされており、それ以上高い値段で売る事は出来ません。
物件によっては、半額近い金額がガイドライン価格とされたものもあります。
つまり、中国政府は不動産の値段を強制的に35%前後引き下げた、という事になるわけです。
そしてこれは、住宅ローンにも大きな影響を与えます。
中国において、住宅ローンの上限は、物件価格の70%までと定められていますが、このガイドライン価格が引き下げられた事によって、ガイドラインの70%までしか銀行は融資出来なくなりました。
不動産価格は下落し、そしてローンが組めない為に買い手がいない、という状況になりつつわるわけです。
そんな中、いくつかの不動産デベロッパーにも不穏な動きが出てきています。
中国の3大デベロッパーの一つ、恒大集団は、昨年9月、デフォルト危機に陥りました。
既存の発行した債券の償還が出来ないかもしれないという情報が市場に流れ、そしてそれが恒大集団の信用不安へと繋がりました。
その結果、恒大集団の資金調達は、なんと年利12%以上を要求される状況になってしまったわけです。
そのような中で、恒大集団は、全物件3割値引きでの販売を行い、物件価格を大きく引き下げました。
調達金利が引きあがる中で、3割引きで物件を販売すれば、当然利益は出ません。
逆に、赤字が出ているとも考えられるわけです。
また、それ以外の企業においても、不動産関連は現在、苦境に立たされています。
中国政府 バブル崩壊やむなし
不動産仲介最大手のケーイー ホールディングスは、この3月に入り、株価が下落し、時価総額で3兆円以上の金額が、市場から蒸発しました。
そして、この問題に関して、中国中央政府、全人代において、不動産バブルに関しては、厳格に対処する、としており、同時に銀行破綻に関する法律を作る方向で進んでいます。
つまり、中国政府としては、バブル崩壊はやむを得ないと判断した、と考えられ、そしてその後の銀行のダメージをどのように解消するか、という方法を考え始めたと言ってもよいでしょう。
中国のバブル、これが崩壊すれば、中国の旺盛な購買力は失われます。
昨年、世界中がコロナ禍で苦戦する中、中国のGDPは上昇に転じました。
しかし、その原因は実はこの不動産バブルが要因であり、GDPを引上げたのは、実は旺盛な不動産売買だったわけです。
しかし、それも継続出来なくなりつつあります。