バランスが取れた組閣人事
その後、組閣が行われました。
この組閣において、はっきり言えるのは非常にバランスが取れた人事である、という事になるでしょう。
菅総理誕生を支えた主要3派プラス2派。
これを中心に組閣が行われており、そしてかつて大臣を経験した大臣経験者がその殆どを占めています。
これは、安定し事故のない内閣を目指したものと思われます。
また、新入閣の大臣の中には、これまでと違う大臣が含まれていました。
岸信夫 次世代プリンスの誕生
特に、今回、防衛大臣を務める岸信夫さんに対しては、完全なダークホース状態だったわけです。
安倍総理の実弟であり、そして台湾と日本を繋ぐロビーの中核。
それが岸信夫さんであり、アメリカとの防衛協力も積極的に出来る方です。
安倍総理の陰に隠れる形で、表に出てこなかった岸信夫さんが表に出てきたという事は、非常に大きな意味を持ちます。
自民党最大派閥である細田派。
この細田派の最大の問題は、後継者がいない事、とされていたわけです。
しかし今回、安倍総理の実弟である岸信夫さんが大臣に就任したことで、一気に次世代のプリンスが生まれたと言ってよいでしょう。
今回の総裁選に関しては、竹下派が麻生、安倍の2派と手を組む。
これは、加藤、茂木という次の総理候補を睨んだものでした。
最大の問題は、細田派に後継者がいない事であり、この問題が、一気に解決されたわけです。
そして、この内閣発足と共に、次の次の総理を巡り、暗闘が繰り広げられるものと思われます。
派閥を持たない菅総理
そして、この菅政権ですが、大きなポイントとなるのは、菅さんが派閥を持たない事とも言えます。
これまで安倍総理、7年8カ月政権を維持できたのは、最大派閥である細田派と、そして第二派閥である麻生派。
このがっちりとした連携が存在したからです。
自民党の党内の基盤がしっかりとしていた。
これが、安倍総理の安定政権を支えて来ました。
それに対して菅総理ですが、自派閥を持たない事によって、この安定した地盤、党内地盤が無い状態になっています。
そして、今回神輿を担いだ勢力も、麻生、安倍、竹下、石原VS二階、という形で2つにパッカリ割れているわけです。
その2派閥の上に乗っているのが菅総理であり、ある意味、会社で言えば、サラリーマン社長のような存在なわけです。
そして、この主要派閥、特に主要3派に抵抗した場合、国会運営すらままならなくなる可能性が高いと言われています。
党内が動かせなければ、予算すら作れません。
法案も作れません。
ですから、党内をまとめ上げる事が必要になるわけです。
その場合、この主要3派の協力なくしては成立しない、という構造になっているわけです。
その意味では、安倍政権の継続というもっとも大きな課題。
自らが掲げる構造改革。
この2つをどのように両立して行く事が出来るのか。
それが、菅政権の命運に担っていると言えるでしょう。
そしてもう一つの問題は、今回の政権が選挙による国民の信を得ていない、という事です。
早期に選挙を行い、国民の信を得ない限り、今回の政権は安定政権とはなり得ない。
そのような状況の中で、難しい舵取りが繰り広げられています。