デジタル人民元構想の正体と狙い
ここに来て進むデジタル人民元構想と、香港問題についてお話をさせて頂きたいと思います。
香港問題と、デジタル人民元、これは全く関係無いように見えます。
しかし、ここには非常に大きな関係があるわけです。
中国は、香港の一国二制度を一方的に破棄する形で、香港を中国の一部にしてしまいました。
これに対して当事国であるイギリスやアメリカは、強い抗議の意を示し、香港の特別な地位を失わせるとしているわけです。
香港の特別な地位の主なものは、
まず、関税優遇と中国と異なる輸出入の区分。
香港を経由して物を入れる事によって、関税は安く、そして中国本土への輸出を禁止されている物等も簡易な検査で香港経由だったら入れる事が出来たわけです。
これが物に関する問題。
そして、香港ドル決済と関連銀行の営業。
香港はかつて、自由主義の街、フリーポートであった為に、香港ドルという特別な通貨を使い、そしてドルとの決済が自由に出来たわけです。
この香港ドルですが、ドル預託通貨という形で、民間の銀行が持っているドルを担保に発行する、民間銀行が発行する通貨です。
そして出入国の自由。
香港には香港のパスポートがあり、中国本土ではノービザ渡航が出来ない地域に関しても、香港は自由にノービザ渡航が出来ました。
この3つに対して制限を掛けるというのが英米の言い分であり、中国は中国で、もう既に香港は中国の一部であるからという事を理由に、香港人の出国に制限を掛けようとしています。
当然、この様にエスカレートした対立関係の下においては、香港ドルというものの行方も怪しくなるし、アメリカは香港にある様々な銀行に対して、金融規制や、そしてドル取引の禁止を命じる可能性が高い状況にあるわけです。
これを受けて中国政府は、香港や中国の銀行に対して、これまで使っているSWIFTという仕組みではなく、中国の国際決済の仕組みCIPSを利用する様に命じました。
現在、国際間の決済は、SWIFTという仕組みと、SWIFTコードという郵便番号に該当する仕組みで出来上がっています。