読者の減少が止まらない新聞各社
本日は、新聞業界の衰退という事について、お話をさせて頂きたいと思います。
新聞というものが、今、どんどん読まれなくなって行っております。
新聞各社は、前年比10%近い読者の減少に苦しんでいるわけです。
新聞に関しては、ABC部数というのがあり、この部数が販売の基準になります。
しかし、実態としてはこのABC部数と、実売との間で、大きな乖離があると言われているわけです。
新聞、残紙という言葉があります。
この新聞、残紙というのは、どういうものを言うかといえば、いわゆる押し紙。
新聞社が無理やり販売店に押し込んだ分。
そして積み紙。
販売店が余分に取っている分。
この部分を足して、残紙と呼ばれるわけですが、この残紙の比率が、30%を超えるのではないかと言われているわけです。
現在出ているこの数字ですが、この数字の3割減から4割減とうが、実売ではないかと考えられます。
世論形成力を失いつつある朝日新聞
そうなって来た場合、ついに朝日新聞に関しても、実売500万部という世論形成に大きな影響を与える数字を割り込んでいると考えられるわけです。
ランチェスター戦略と言われるものがあります。
これは、認知度が人口の10%を超えた場合、それがあっという間に過半数に到達する。
逆に言うと、10%未満で終わってしまった場合、過半数まで到達せずに終焉して行く。
これが、ランチェスター戦略の一つの考え方になるわけです。
日本の総世帯数は、約5000万世帯。
つまり、その10%。
500万世帯というのが、一つの指針になっているわけです。
この500万世帯を、いわゆるABC部数、公の数でも割り込みそうな勢いになっているわけです。
新聞業界衰退の2つの要因
そして、この新聞業界ですが、先行きは、非常に厳しいものと言わざるを得ません。
それは、大きな構造的な問題を抱えているからです。
一つは、マンションのオートロック化です。
都会に出来る多くのマンションでは、オートロック化が進んでいます。
オートロックになると、いわゆる新聞のセールスマンが各戸を廻って、新聞を売って行くという事が出来なくなるわけです。
つまり、一旦解約された新聞の定期購読は、復活する可能性が低い。
そして、地方で大きな問題になるのは、地方の過疎化と読者の減少です。
同じテリトリーの中に、30人の読者がいたとしましょう。
それが、半分に減ります。
しかし、新聞販売店としては、人1人を雇わざるを得ず、収益性が一気に悪化して行く事になります。
そして、人数が減れば、チラシの折り込み料も減るという構図の中で、織り込み料が減り、配達エリアが増え、賃金が増える。
しかし、利益が出ない。
というこの3重苦に苦しむことになっているわけです。
更に新聞は、インターネットという競合とのメディアで劣勢です。
なぜならば、インターネットにおいては、即時に世界中の情報が手に入るのに対して、新聞は少なくとも1日遅れの情報になってしまう。
また、インターネット上においては、様々なその分野の専門家が直接語っており、新聞の新聞記者よりも、よほど知識が豊かだったりするわけです。
そのような人達が、Youtubeや様々なネット通信界に進出しており、新聞の記者たちは、専門性という部分において、劣勢に立たされてしまっているわけです。
ここで新聞社が出来る事は1つ。
いわゆるペーパーレス化。
紙媒体を止めて、インターネット専業になる、という選択があります。
この場合、今の印刷部門や、広報部門、CM部門など、社員の95%以上がいらなくなるのではないかと言われており、新聞社としては、今の企業規模を維持出来なくなる事になります。
これに対して、新聞社も必死です。
朝日新聞社などは、49歳以上を対象に、新聞社が主催する出会い系サイトや、新聞販売店網を使った、野菜の通販などを始めており、他業種に進出しようとしているのが今の現状。
それは、焼け石に水でしかありません。