米国の新たな中国に輸出規制
アメリカが中国ハイテク企業に新たな輸出規制をかけた話についてしたいと思います。
現在中国では、2020年を目途に、天網、スカイネットという人民監視システムを導入しようとしています。
これは、ファーウェイやZTEという携帯電話、いわゆる5Gなどのネットワークと監視カメラ、音声による音声認証、そして顔識別、顔認証の技術などを一体化させる事によって、自動的に、中国政府に不都合な人物を割り出し、彼らを摘発するための仕組みを全土に広げようとしているわけです。
この実証実験が行われたのが、ウイグルなどの中国がある意味弾圧をかけている地域だったわけです。
ウイグルにおいて、天網、スカイネットの実験的運用が行われ、反中国政府、反中国共産党という人達、100万人近くを拘束したと言われているんです。
ここに関わったファーウェイ、ZTEに加え、今回エンティティ―・リストでは、中国の監視カメラメーカーのハイクビジョン、メグビー、ダーファ、センスタイムなどのいわゆる監視カメラや、顔認証システム。
また、音声認識システムを作っている企業体全体に対して、アメリカ企業や、アメリカ原産技術が25%以上入っている技術を輸出してはならないという新たな規制をかけたわけです。
日本企業も規制の対象
これは、日本企業もその対象になります。
アメリカが原産の技術25%以上が含まれると、日本企業が作った製品も、再輸出が出来なくなっているという事になるわけです。
これは、ファーウェイにかけられた規制と全く同じものです。
あくまでもこれは、製品だけではなく、技術そのものが関係しますから、日本企業であっても、アメリカの原産技術25%以上が含まれると、対象企業の人に、情報を与える、共同研究をする、共同開発をするという事すら許されません。
いわゆる顔認証や、音声認識などの基本的な特許はアメリカが持っており、これを日本企業なども活用する形で、顔認証システムなどの研究を進めて来ました。
このような、研究開発したものの殆どが、中国に対して渡せなくなる可能性も出ています。
また、中国企業としても、顔認証や音声認識、これをアメリカ企業からのライセンスによって、生産している場合が多いわけです。
今回、エンティティ・リストに入った事によって、このライセンスが取り消される可能性が高く、その場合、今後アメリカ技術が入った顔認証システムなどを作れなくなる可能性も出て来ました。
また、外国に輸出する事に関しても、規制がかかる可能性が高まっています。
現在、日本企業の多くでは、中国と共同開発の形で、AIや自動運転などを進めていますが、この自動運転や、AI技術などに関しても、大きな障害になる可能性が出てまいりました。
韓国との輸出管理問題でも話題になりましたが、日本でこのような技術輸出や製品の輸出を規制する法律は、外為法です。
この外為法を強化する形で、AI技術やバイオなど、中国など軍事的懸念がある先に対して、輸出出来なくする法律を作ろうとしています。
これは、日米の貿易協議の中にも含まれていると言われており、アメリカが輸出禁止対象にした企業や国に対して、日本などの同盟国も同様の処置を取るようにアメリカは求め続けて来たわけです。
外為法強化の可能性
これに対応する形で、今国会に置いて、外為法が強化される可能性があり、そうなると、現在のアメリカ原産技術だけではなく、日本独自の技術であっても、中国。
例えば、ファーウェイやダーファ、ハイクビジョンなど、今回の規制対象になった企業に対しては、売れなくなる可能性も出ています。
そして、中国の側で言えば、今回の輸出規制によって、最新鋭のビデオチップが買えなくなる可能性が高まっています。
顔認証や、音声認識は、最新のビデオチップ無くしては成り立ちません。
このビデオチップは、AMDとNVIDIAというアメリカ2社が中心となって作っており、これが手に入らなくなる事によって、中国のAIやハイテク技術は、一気に開発のストップがかかる可能性も指摘されています。
現在の、米中の状況というのは、一種の戦争です。
アメリカを選ぶのか、中国を選ぶのか。
もう戦後ではありません。
ある意味、戦前であり、戦中なのかもしれません。