米国が作り始めた人・モノ・金の壁
そして、アメリカは、昨年からまず人・モノ・金の中で、モノに対する壁を作り始めました。
一つが、中国に対する輸出関税。
これは、第4弾、第5弾と、これからも広がって行く可能性があります。
それと同時に、モノに関しては、新ココム、新しいココムと言われる中国に最先端技術などが渡らない仕組みを今作ろうとしているわけです。
この新ココムに関しても、年内に順次始まる予定になっています。
また、ファーウェイに対する技術輸出の禁止も、この同じ文脈に沿ったものという事になります。
モノに関しましては、壁が出来ました。
そして、人に関しても、これまで5年間であった留学生や、研究者などのビザが、毎年更新に変わりました。
そして、中国人の入国に対する入国審査も、厳格化されています。
来年度以降、中国人民軍と関係する人物に関しては、アメリカの入国が出来なくなる可能性も指摘されており。
また、ウイグルや香港の弾圧に加わった人物に関しても、規制を強める方向で進んでいます。
そして、本命となるのが金です。
金の切れ目は縁の切れ目。
お金というものが、一番中国経済にとって、大きなダメージを与えます。
これまで、中国や中国企業の発展を支えて来たのはドルです。
中国は、人民元では海外に投資できませんでした。
中国が、海外で事業を行うのには、どうしてもドルが必要になるわけです。
このドルを調達する方法には2種類あり、中国が海外、アメリカなど海外に輸出して、輸出した代金をドルで貰う。
そして、もう一つの方法が、中国企業が、海外で上場したり、起債、いわゆる債権を発行するなどによって、海外からお金を集める事。
この2つの要素があるわけです。
そして、1つ目の輸出して儲けるという部分に関しては、アメリカからの貿易関税によって、一気に縮小しています。
そしてもう一つ。
このアメリカで上場したり、起債する、債権を発行する事によるドル調達が、今、大変難しくなっています。
米国が強める中国企業の排除
米国議会の中でも、対中国に強硬なマルコ・ルビオなどは、中国企業が、アメリカのマーケット、市場に上場しているのはおかしいのではないかと言い出し、
アメリカのトランプ政権のブレインと言われるピーター・ナヴァロは、「アメリカ市場から中国企業を追い出すべきだ」としているわけです。
中国の企業は、中国国内の法律によって、会計監査の資料や、会計監査の情報を、海外に持ち出すことが出来ません。
ですから、中国企業の会計監査は、中国国内で行われ、その結果のみが、海外に発信されているという状況になっています。
このような状況では、透明性が担保されているとは言えません。
これを理由に、マルコ・ルビオなどは中国企業をアメリカの市場から追いだそうとしているわけです。
米国での上場が出来なくなった中国企業
現実、昨年以降、アメリカにおける中国企業のIPO(新規上場)は、殆ど行われておりません。
今回、それに追加する形で、既にアメリカ国内で上場されている中国企業を、上場廃止にしたらどうだ、という意見が出ているわけです。
上場廃止になれば、当然その株価は暴落すると共に、もうアメリカ国内で資金を調達する事は出来なくなります。
この株式だけではなく、債券も同様で、中国企業はアメリカ国内での起債、ドル建ての債券発行は、今、殆ど出来ない状況です。
アリババ 米国・香港でのIPO失敗
そんな中、中国企業が頼ったのが香港という事になるわけです。
香港ドルの裏付けはドル。
香港において、上場すれば、ドルが手に入るのではないかとしたわけですが。
香港も、今回の香港デモによって、マーケットがおかしい状態になっており、海外でIPOを成功させた中国最大の銘柄と言われているアリババも、アメリカでのIPOを諦め、香港にIPOの場を求めましたが、これも失敗に終わっているという状況になっています。
このまま上場出来ない、またはドルが手に入らなければ、当然、ロールオーバー、借り換え、外貨で借りたものは外貨で返さなくてはいけない。
この借り換えが出来なくなり、結果的に、アメリカや外国に持つ中国企業の資産を売却して、返済せざるを得なくなるでしょう。
その結果、金の面で、アメリカと中国との間に、新たなカーテンが生まれて行くわけです。