米国によるWTO改革の開始
このような中でアメリカは、WTO改革を進める事を強く謳っています。
これまでの単純な自由な貿易という言葉から、自由で公平な貿易、自由で平等な貿易というものを、全ての国際声明の中に入れているわけです。
当然これは、つい先日開かれたG20の会議の中でも述べられています。
WTO改革をする。
改革出来ないのであれば、WTOを潰すというのが、アメリカの強い意志でもあります。
WTOは、その設立の経緯から、アメリカが単独拒否権を持っています。
そして、WTOで物事を決めるには、最終的に二国間のパネル、二国間の協議が行われた後、上級委員による裁定が行われるわけです。
つい先日、WTOにおいて日本は韓国に対して海産物の輸出において敗北いたしました。
日本政府としても、この裁定は不平等である、間違っているという事で強く抗議をしています。
韓国がWTOに提訴しても無意味な理由
そんな中、WTOは今年12月11日をもって、事実上、希望を停止する可能性が出ております。
実はWTOは7人の上級委員によって成立しています。
実は、この上級委員の選定を、アメリカは昨年から拒否しており、現在7人のうち、3人しか上級委員がいない状況になっているわけです。
上級委員が3人以下になった場合、もう裁定が出来なくなってしまうわけです。
現在残っている上級委員は、アメリカが選任した委員が1人、インドが選任した委員が1人、そして中国が選任した委員が1人という構造になっており、今年の12月10日で、アメリカのインドの委員が任期切れになる予定になっています。
つまり、12月11日以降は、機能をしなくなってします可能性が高いわけです。
つまり、韓国がいくらWTOに提訴したところで、通常裁定には1年~1年半という年月がかかります。
裁定が出るまでに、WTO自身が機能を停止してしまえば、裁定すら出ない。
つまり、相談しても意味がないという事を意味するんですね。