お金と日本人
私はですね、若い頃と言いますか、丁度真ん中くらい。
まぁ私、50歳までが第一の人生で、特に30くらいから50くらいまでの20年間というのは、本当に、あちこち行っていましたね。
丁度その頃、日本も猛烈サラリーマンの時代でですね、私もその中の、先頭を切ったような技術者で、気持ちとしてもですね、「よーし、日本の技術をやるぞ」「世界に負けないぞ」というですね、そういう強い気持ちを持っていました。
その頃、時々ですね、研究している時に、「コーヒーを飲んだり、テニスをしてもいいじゃないか」という人がいたんですが、
それは別に構わないんですけれども、私はですね、丁度マラソンをしているような感じでしたね。
どっかのマラソンで、日本の谷口選手というのは、靴が脱げましたね。
画像出典:日刊ゲンダイ
あの靴が脱げただけで…
水を取った時の後の接触で、靴が脱げました。
その靴を履いているだけで、どうしても先頭に追い付かなくて、8位くらいで、残念ながらあとの時谷口選手は、靴が脱げなかったら優勝していたかもしれません。
金メダルですね。
それを取れなかったんですよ。
コメントも非常に良くて、評判も良かったわけですが、丁度あんな感じだったんですね。
私、ちょっとでも緩むとですね、なにか、フランスとかですね、あの頃、オーストラリアとかアメリカが競争相手でしたけど、そこに抜かれて行くのが、目に見えるような感じでしたね。
ですから、別にコーヒーを飲んでも、テニスをしてもですね、それから、旅行に行っても別にいいんですけど。
それから、今頃で言えば、なんか家に帰って、子供と遊ぶとかですね、それはいいんですけど、家に帰って子供と遊んでいたらですね、自分が抜かれて行くのが分かるんですよね。
そういう時代でした。
いいかどうかは別にしましてね。
国際競争に勝つという事は、本当に1分、1秒もおろそかにしないという気持ちじゃないと、やっぱり勝てないんですよね。
これはもう、オリンピック選手を見ても、なんでも分かるんですけど。
そういう風な生活をしていました。
もっと若い頃、20代はですね、土曜日、日曜日は、いつもカーテンを閉めて、あの頃は物理の計算でしたから、物理の計算ばっかりやっていましたね。
必死だったですよ。
要するに、外を見ると、気持ちが荒れるというか、浮かれるんでね。
雨の日は特に良かったですよ。
やっぱり雨の日に自宅にいて、カーテンを閉めて。
朝から晩までカーテンを閉めて、計算しているんですから、まったく変な話なんですけど、まぁ、そういう事でした。
そして、30から50まで、本当にこう、例えば一番激しい時は、1年で、全日空だけで、150回、全日空だけですよ。
他の飛行機も合わせたら、どのくらい乗っているか分かんない、そんなような時代がありましたね。
日本人は外国人からどう思われているのか?
そうしてまぁ、色んな外国に行きました。
30カ国ぐらい。
大きく言えば、研究している頃は、先進国が多かったですね、当然ですけど。
それから、大学に行ってからは、比較的、発展途上国が多かったんですね。
で、そういった経験をして、色んな所で色んな人に会い、話をしてという経験を通じますとね、本当に日本人ってね、世界中から尊敬されているんですよ。
非常に不思議なくらい尊敬されているんです。
なんて言うんですかね、先進国は、尊敬するというよりかですね、「日本人だけは違うからなぁ」という感じなんですね。
日本人だけは違うからなぁ、という感じなんですよ。
よくね、中国人と朝鮮の人と日本人と、僕でも顔が分からないんですけど、かえってアメリカ人、ヨーロッパ人は分かるんですよ。
僕が、「なんで分かるんですか?」って言ったら、「態度で分かる」と結構言いましたね。
ただ分かるんだと。
「俺たち分かるんだ」って答える人もいるけど、それが割合とインテリで、僕なんかと一緒に議論するような技術者、ドクターの連中もそうですが、タクシーの運転手でもですね、「あなた日本人でしょ?」ってよく言われたりするんですね。
「はい、そうです」と。
「なんで分かりました?」って言ったら、「いや、分かるんだ、日本人は」って。
そういう風にですね、答えられましたね。
それで一様に、日本人は別扱いされます。
非常に人種差別の厳しい所でもですね、後で具体例もお話しますが、もちろん、海外経験が長い人は、もっとよくご存じでしょうけど、僕は学者としてですからね。
ですから、また違うのかもしれないので、このシリーズを話し始めたんですけど、学者というのは、結構庶民の中にいるんですよね。
地下鉄にも乗ったりしますしね。
だいたい、飛行機はエコノミーだったりしますんで。
そうかと思ったら、学者というのは面白くてですね、エコノミーの汚い所に乗ったと思ったら、言った先は国の非常に偉い人に会ったりですね、そういったものなので。
垂直系は、随分広く知っているわけですね。
でまぁ、ヨーロッパでもですね、ヨーロッパはやっぱり日本人について、アメリカほどは親しくないというか、よく知らないんですよね。
「日本人って、あなたのような人なんですか」という感じの所が、ヨーロッパはちょっと多かったですね。
もちろん、フランスとかドイツとかイギリスとかいうのはそうじゃないんですが、少し中に入りますとね、やっぱりそのような感じでしたけど。
それでも、軽蔑されたという事は、全く無いです。
それから、人種差別をされたという事も、私は1回もありません。
それからね、アジア。
これはね、もうあの、中国とか韓国は別なんですけど。
まぁ、中国や韓国でも嫌な思いをした事は1回も無いんですけれども、もうとにかく東南アジアから、中東までですね、本当に尊敬してくれます。
日本人が来たらね、みんな喜んじゃうんです。
よ~く待遇してくれます。
それはね、何かという事を、このシリーズでお話をしたいという風に思うんですね。
アフリカには直接あんまり行っていないんですけれども、アフリカ人の方にもお会いしましたからね、随分。
そういう意味でも、アフリカ人なんかは、全く日本は、尊敬してくれますね。