米国が開始した中国人の追い出し
今日はもうすぐ始める新ココムという事で、アメリカが始めている中国人追い出しについてお話をさせて頂きたいと思います。
昨年8月、アメリカは国防権限法2019というものを出しました。
一般的にNDAAというものなんですね。
アメリカの場合、議会がホワイトハウス、行政に対して来年こういう事をしなさい、こういう活動をしなさいという命令と共に、予算案を通して、翌年度以降の軍事計画を決めるのがこのNDAAなんです。
このNDAAでは、ファーウェイやZTEという中国通信2社と、防犯カメラメーカー3社が、アメリカ政府と取引をしてはいけない対象として定められ、アメリカから制裁が加えられる事になりました。
殆ど報じられていないのですが、更にアメリカではですね、NDAAにあわせて、FIRRMA、外国投資リスク審査現代化法という法律が出されました。
そして、もう一つはECRA、アメリカ輸出管理改革法という法律も新たに作られたわけです。
この2つの法律なんですが、FIRRMAこの法律においては、いわゆる外国人がアメリカの重要な企業。
インフラですとか、先端技術とかの企業を買収する際の審査を非常に厳格化した法律になっているわけです。
これまでも、いわゆる安全保障に関わるものに関しては規制があったのですが、この今までの単なる安全保障、軍事的なものから、そこに先端技術と重要インフラを含めた。
つまり、先端技術や、重要インフラに関しては、買収できなくしたというのがこの法律になるわけですね。
米国が始動した新ココム
そしてもう一つが、ECRA、これが米国輸出管理改革法という法律で、これが現代版、新ココムとも言われるものなんです。
かつて、東芝COCOM(ココム)事件というのがありました。
昔はですね、対共産圏輸出規制という形で、東西冷戦時代にはですね、共産圏に西側諸国の技術を輸出できなかった。
で、これがですね、ココムが無くなり、ワッセナー・アレンジメント(1996年7月成立)という新しい枠組みに変わったのは、この20年くらいの間ですかね。
変わってきたわけですが、3年くらい前からですが、中国への武器転用技術の移転に関しては、非常に厳しい審査が行われるようになってきたわけです。
で、今回このECRA(輸出管理改革法 2018年8月成立)という新法によって、今までは武器などの軍事技術だけだったものに対して、先端分野、14分野の産業が加えられるようになった。
米国ECRA(仮)
・バイオテクノロジー
・人工知能(AI)及び機械学習技術
・測位(PNT)技術
・マイクロプロセッサー技術
・先進的計算技術
・データ解析技術
・量子情報及びセンシング技術
・物流技術
・追加的製造技術(3Dプリンティング等)
・ロボティクス
・脳コンピューターインターフェース
・超音速
・先進的素材
・先進的監視技術
この14分野というのはですね、中国がこれから国家の発展の為に進めて行きたい、作って行きたいという中国製造2025の内容とほぼ合致する分野、
中国製造2025
・次世代情報技術(半導体、次世代通信規格「5G」)
・高度なデジタル制御の工作機械・ロボット
・航空・宇宙設備(大型航空機・有人宇宙飛行)
・海洋エンジニアリング・ハイテク船舶
・先進的鉄道設備
・省エネ・新エネ自動車
・電力設備(大型水力発電・原子力発電)
・農業用機材
・新素材(超電導素材、ナノ素材)
・バイオ医薬・高性能医療器械
という事になっているわけです。
つまり、アメリカの技術を中国製造2025に使わせないというアメリカ議会の強い意志であると言えるでしょう。
そしてこれの問題点があるわけです。