マネーロンダリングと金融制裁の仕組み
マネーロンダリングと金融制裁の仕組みについて、お話をしてみたいと思います。
国際的なマネーロンダリングの取り締まり機関としてFATFというものがあります。
これは、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会という組織で、元々1980年代に、麻薬取引など国際化が進む中においてまず麻薬に関するマネーロンダリングを阻止する仕組みとして生まれました。
その後、2001年9月11日の9.11アメリカ同時多発テロによって、アメリカが主導するこの組織は、テロとの戦いも主導するようになったわけです。
このFATFという組織が世界中のマネーロンダリングやテロなどを取り締まるために動いているわけですね。
そして、これを主導している国は当然アメリカという事になります。
第二次世界大戦末期1944年7月、ブレトン・ウッズという場所において、アメリカが中心となったドル基軸体制というものが生まれました。
つまり、世界中の債権、穀物などがドルで取引されているために、このドルを中心とした金融体制が出来たわけです。
これを利用したのが、アメリカの金融制裁という事になります。
アメリカは、テロリストやいわゆるテロ国家に対して、金融制裁というものをかけています。
そして、SDNリスト、このテロ制裁者のリストを作り、世界中に公開しているわけです。
ここと取引をすると、その人も金融制裁の対象になりますよというのが、この金融制裁の仕組みなんですね。
取引しては行けない人、鬼ごっこの鬼がSDNリストに載っている人、この人と取引をすると、セカンダリーボイコット、二次的制裁対象として、この人も鬼として世界で登録されてしまう。
登録された場合、どのような事が起こるかと言いますと、SDNリストに載ると世界中の銀行は、その人の銀行口座を廃止して、取引を出来なくする必要があるわけです。
国によっては、SDNリストに載ると、銀行口座が凍結されて、そのままお金が出せなくなります。
この仕組みが、アメリカが作ったテロとの戦いの仕組みであり、金融制裁という仕組みになるわけですね。
ここに来て、北朝鮮絡みでワームビア法という法律が作られる事になりました。
先ほど言った、セカンダリーボイコット、これまでは大統領の判断でこのSDNリストに載せる事が出きるだったものを、載せなくてはならないと議会が変更しようとしているわけです。
先ほど説明したように、世界の資源や穀物の取引は、基本的にドル建てです。
そして、世界中の債権の半数以上はドル建てです。
ですから、世界のどこの銀行もドルが無くなるといわゆる破綻状態になってしまうわけです。
ですから、アメリカがSDNリストに載せると、世界中の銀行はアメリカ当局の指示に従う必要が出て来るわけです。
これを破ったとして、フランス銀行の再王手BNPパリバという銀行は、1兆円の罰金を受けましたし、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアという銀行は、それによって破綻に追い込まれました。
これが、アメリカが持つ最大の力であり、金融制裁の仕組みという事になります。