私が裏情報を一切信用しない理由
私が現役の頃ですね、外務省で働いていた頃は、いわゆる情報屋と接触したことはあります。
しかしその経験から申し上げますとね、彼らは接触してくるんですが、もちろんお金で情報を売るわけですね。
我々もそれは表の情報だけじゃなくて、そういう裏情報に通じている人たちですね。
その情報をまあお金で買うんですが、それは、しかしそういう人たちは別に日本政府にだけ、日本大使館にだけ情報をくれるわけじゃなくて、いろいろ調べてみますと、他の若干の大使館も同じ情報をもらっているということが分かりましてね。
それは最初からわかってたんですが、そういうことはありました。
もちろん今も外務省の現職の外務省の方々も、いろいろ情報収集には力を尽くしておられると思いますけど、その中には、まあいわゆる裏情報に類するものもあると思いますけどね。
問題はそれをどう理解するか、加工するかということですね。
生のままでは、先ほど申し上げましたような、かえってディスインフォメーションですね、偽情報に引っかかる危険があるわけなんです、そういうことは一つね、補足をしておきたいと思いますが。
国際情勢は誰でも読み解く事が出来る
最初にまぁ私自身をよく知っていただくために、若干のエピソードっていいますか、私の立ち位置というものをご説明しておりますけれども。
今回はですね、結局なぜ私が、私自身も外務省にいても、あらゆる国際情勢を勉強したわけでもありませんしね、そういう、全ての国に勤務していたわけでもありませんから、まったく私が勤務もしてないし、出張とかで行ったこともない国の情勢もなぜわかるのかということですね。
皆さんも、そういう疑問はお持ちになると思います。
それは皆さんにおかれても、例えば必ずしもその視聴者の方々は、国際問題とか政治の専門家でもない方が多いんだと思いますし、中にはいわゆる専業主婦の方もいらっしゃると思うんですね。
でもそういう専業主婦の方もこの国際情勢がわかるということを私は申し上げてきましたし、現にそれを理解していただいて、あるいは関心を持っていただいてるから、ご覧いただいているんだというふうに思っております。
じゃあそれはなぜその、例えば専業主婦の方も、例えば理科系の方もですね、こういう政治の話とか国際関係の問題を理解することができるのかと言いますと、それは私自身も同じことなんですが、物事の本質を究めれば他の分野もわかるということなんですね。
実に簡単なことなんです。
で、我々はみなさんそれぞれ違った職業なり仕事をお持ちなんですが、その仕事、それが直接には国際情勢なり政治に関係のない仕事であっても、その仕事を極められれば、他の分野のことがわかる。
それはなぜかというと、物事の本質は同じだからなんですね。
世界情勢を読み解く秘訣
実はこの世の中っていうのはそんな難しいものじゃないわけです。
その物事の本質は同じだということがわかればですね、自分の専門分野以外のこともだいたいわかるわけです。
もちろん細かい知識はね、例えば私には医学の細かい知識はわかりませんし、それからその他の、建築の、建築家の人のような細い設計図が描けるわけではもちろんありません。
しかし逆にいえば、建築家の方は日頃、国際政治のことを勉強しておられる方ではない、しかしその建築家の方でもお医者さんの方でも国際政治のことが分かるというのはなぜかというと、その方々が自分の仕事の本質を極められればわかるようになるということですね。
お医者さんの方の本質も、建築家の方の本質も、政治家の、そういう意味では政治家なりの本質も外交官の本質も、本質は同じなんで、これは結局は人間観というものですね、に行き着くわけですね。
人間観があって人間というものを極めれば、あと社会がどういうものかというものは自ずから想像がつくわけですね。
そうすると、この世界がどういう仕組みになっているかと言うことも自ずから想像できるようになるわけなんです。
したがって、結局自分のその仕事を極めるということは、結局その人間の本質を究めるということとつながっているということですね。
残念ながらなかなか、言うは易く行うは難しで、なかなか本質を究めることは難しいですし、私もこの歳になるまで極めたとはとてもまだ極め尽くしたとは言えませんけれども、少しやはり意識をして、人間と、私の仕事を色々遂行する上で人間とは何かということにどうしてもぶつかるわけですね。
そこで、自分の人間観って言いますか、結局自分の人生観になるわけですけれども、そういうものを磨いていくと、世の中の動きがわかりやすくなると、見えてくるということなんです。
これはもう、100の説法よりも一つの実践ですから、ぜひ皆さんもそれぞれの仕事を今まで以上に極めていただきたいと思います。
一見、今日私がお話しするような事と関係のない仕事をしておられても、私のお話を理解していただいている、いただけるのは、皆さん方が皆さん自身のお仕事を相当程度極めておられる方だというふうに私は理解しております。
それは自信を持って私はそう理解しております。