所得とは一体何なのか?
この図を1枚理解するだけで、皆さんは経済の7割くらい理解したことになるんで、ここだけでいいのでちょっと真剣に聞いてくださいね。
私たちは生産者として働きます。
生産者っていうのは働いてる人全員です。
経営者も従業員も農家の方の製造業の方もサービス業の方も公務員の方も、働いてれば生産者。
私たちは働いて、物やサービスを生産します。
物やサービスを生産することを働くといいます。
そしてお客さん、家計、企業、政府、外国に消費、投資として支出して頂き、つまり買ってもらって初めて給料、所得を得ることができるんです。
ここまではわかっていると思うんだけど、重要なのはここからです。
私たちは働いて物やサービスを生産し、お客さんに買ってもらって所得を得たら、話ここで終わらないんです。
今度私たちは、この所得をもって、お客さん側に回るんです、必ず。
だって人間って食べ物買わないと死んじゃいますでしょ、水も必要ですよね、住むところも、あるいはお洋服も、家電も、自動車も。
ということで、私たちが稼いだ所得をもってお客さん側に回って、別の生産者が生産した物やサービスを買う。
するとこの、別の生産者に所得が生まれるんですね。
今度この方がお客さん側に回って、さらに別の生産者が生産した物やサービスを買うと、その方に所得が生まれる。
こういう形で、所得創出のプロセスがグルグルグルグル終わりない形で回転していく現象を、経済っていうんです。
皆さんは、物やサービスを買うと財布からお金が消えちゃうから、お金がこの世から消えた、と思うけど、消えてませんからね。
売った人のキャッシュレジスターに移っているだけで、その人の所得になってるんです。
今度その人がその所得で、皆さんが生産する物やサービスを買ってくれるかもしれませんよね。
この循環こそが、経済なんです。
貧乏になり続けている日本人の現実
今の日本経済の問題は、さっき見ていただきましたけど、これ。
実質賃金で見た所得がどんどんどんどん落っこちてくると
いうことなんですね。
つまり、所得が小さくなっていってる、貧乏になっていってる。
貧乏になった我々は、少ない給料をもってお客さん側に回る、金がないという話になります。
すると別の生産者が生産した物やサービスが売れないので、はい、この方はなにをやるでしょう。
なかなか物やサービスが売れない、もちろん、値下げをするんです。
値下げをすると、お客さんの立場としては皆さん嬉しいですよね。
安くしてくれてありがとうって。
買うんだけど、その時、この生産者は前と同じサービスを生産したにもかかわらず、値下げによって自分の所得を小さくしてしまうんですね。
そりゃそうですよね、単価が下がって販売数量が変わらなかったら、利益が減っちゃう、売上も減っちゃうんですよね。
で、値下げによって自分の所得を小さくした方が客側に回って、すると。金がない。
さらに別の生産者が生産した物やサービスが売れない、はい、この方はなにをやるでしょう、値下げするんです。
自分の所得を小さくして、今度はこの方が、という形で、この所得の縮小と物価の下落が悪循環を描いて進行していく現象のことを、デフレーションというんです。
たぶん主婦の方とかいっぱいいらっしゃると思うんですが、皆さんは安くしてもらうと嬉しいですよね、別にそれを責めてませんからね。
でもその時必ずそのこの、皆さんが買った物やサービスを生産した人の所得は小さくなっている、これがデフレーションなんです。