誤解されている商品貨幣論 お金誕生話の間違い
ここで問題、よくある貨幣観っていうのはこれで、商品貨幣論。
つまりさっき申し上げた金貨と同じ発想なんですよね。
仮想通貨もこの商品貨幣論に立ってるんですけど、貨幣ってのは何かというと、もともとこの勘違いはすごく広まってるんですけど、もともと交換っていうのは原始的にもともとやっていて、原始的な時代は物々交換をやっているとその交換が不便なので、金で交換してましたけど、そのうち金だと面倒くさいので紙幣になりました、みたいな。
最近になるとそれがで電子マネーになりました、みたいなですね。
こういう議論というのはとても人口に膾炙(かいしゃ)していて、子供なんかみんなこう思ってまして、大人でもついついこう思っているということなんですけど。
じゃあ紙幣というのは何のために、あの紙っぺらは何のためにあるかというと、最後は貴金属との交換が保障されてるから、金本位制がこの考え方なんですね。
ところがこの考え方は我々はもう間違いだって本当は知っていて。
なぜなら米ドルは1970年以降、金との兌換が停止されてますけども、国際通貨として流通されて、し続けてますし、歴史を紐解いてみますと、例えばイギリスも19世紀、一時期、金との交換を停止してた時期があったんですけど、その間ポンドは使われなくなったかというとむしろ逆で、ポンドが国際通貨としての地位を確立したのはその時だったんですね。
貨幣が物々交換から生じましたっていう事実は、どうも人類学とか歴史学の方々は誰も見つけられていないということで、そもそも貨幣がそもそも物々交換から始まって、みたいなそういうストーリー自体が実は間違いだということになっております。
正しい信用貨幣論 お金の本当の正体
じゃあ貨幣とは何かといいますと、正解はこちらでして、こちらはイングランド銀行の季刊誌が現在、現代貨幣における経済における貨幣の入門というのを出していて、これなんか動画でも出てましたので、やっぱりさっき申し上げたようなのは商品貨幣論というのが根強いので、それ違いますよという啓蒙に走ってるんですけど。
商品じゃなければ何かというと、イングランド銀行のこの解説はこう書いている。
貨幣というのは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債であると。
どういう意味かっていうと、要するに、負債、借用証書、お金というのは。
その負債を他の人に渡して、最後それは負債なので誰かが返してくれると、そういうものが貨幣だと。
貨幣っていうのは、その共通の計算単位で表示された負債のことだと、その共通の計算単位とは例えば円とかドルとかポンドだということなんですね。
そうすると、このイングランド銀行の話が正しいとすると、その負債つまり借金、債務、負債が貨幣だというなら、じゃあ負債は誰でも負うことができるので、誰でもお金が作れるじゃんということになっちゃうんですけど。
確かに負債は誰でも作れるんですけど、問題は「俺の負債、これ貨幣だから使って」といっても誰も使わないわけですね。
それは当たり前で、なんて使わないかというとデフォルトの可能性、返済不能という可能性があるので、デフォルトの可能性がない、あるいは極めて低い特殊な負債だけが貨幣として流通するということになります。
結論から言うと、そのようなデフォルトの可能性が極めて低い特殊な負債として使われている貨幣は、現代においては現金通貨すなわち中央銀行券と鋳貨、お札とコインですね、それから銀行預金。
現金通貨と銀行預金、この2つということになっています。
現金通貨と預金通貨
あとで申し上げるように、ポイントはいわゆるお金という現金通貨に加えて銀行預金が貨幣として定義されているということなんですけど、これが重要で、貨幣っていうのは現金通貨と銀行預金のこと、これは定義上そうなっているんですけど。
なんで銀行預金が貨幣ってことになっているかというと、事実上、給料の振込や貯蓄に使用されているので、もう銀行預金っていうのは貨幣なんですね
貨幣の定義のうちほとんどを占めるのが実は銀行預金で、全体に占める現金通貨の比率はごくうわずかです。
とはいえ、最終的な銀行預金というのは現金を引き出せる、現金通貨の根幹が保証されてえいるわけで、それで銀行っていうのは預金の引き出し、急に引き出しをされたときにないっていうんじゃ困るので、中央銀行、日本では日銀に一定額の準備預金っていうのを設けていて、急な預金の引き出しの時に対応できるようにしている。
これは法律で決まっています。
どこの国でもあるんですけど、日本の場合は日銀当座預金というのを民間銀行が中央銀行に設けているということになります
そうするとじゃあ、その銀行預金というのはまあ最後、現金にもなるんだということであれば、じゃあ現金通貨っていうのは何との交換が保証されているんだ、何に裏打ちされているんだ、何で価値があるんだ、なんで現金通貨っていうのはみんなが価値があるものと思って支払いに使っているんだということがポイントになっていきます。
で現代貨幣理論という理論があるんですけど、現代貨幣理論は、これと租税と関係していると。
通貨はなんで支払い手段として受けられているのか、通貨の価値は何で保障されているのか。
これは、国家が 国民に納税義務を課して、それを納税義務をちゃんと果たしたと示すのに、通貨を支払えばいいと、通貨を納めればいいというふうに決めているからなんですね。
要するに通貨というのは自分に課せられた納税義務を解消するという価値があると。
従って、みんな通貨っていうのは価値があるものとして使っていると。
通貨は租税の支払い手段として使われるんですけど、それで価値があるので租税の支払い以外でも使うようになったと。
要するに取引ですね。
売買それから貯蓄、これにも使われるようになった
これが実は通貨というもののカラクリだということで、従って通貨の価値は何だ、貨幣の価値は何だと、掘って掘って掘っていくと行き着くのは実は徴税権を有する国家権力というのが通貨の価値を究極的に保証してたんだという、こういう理解になります。