健康を破壊するテレビの食品報道
その欠点の1つが、テレビで食品の報道をしたという、この組み合わせですね。
テレビという新しい経験で、非常に大きな影響があるもの。
それから、女性の解放という点で非常に大きな影響があるもの。
この2つが合体したものが、テレビにおける食品報道ですね。
私は目に余るという感じがするんですが、これを食べるとこうなるというのが多いんですよ。
これを食べると精神が安定するとか、これを食べると糖尿病が治るとか、そういうものが山ほどあるわけです。
緑黄色野菜を食べるといいとか、大豆はいいとか、山ほどあるわけですね。
しかしこれで見ていますと、大きな勘違いは、食べたものが自分の体になると思っているような放送が多いんですよ。
テレビが金の為に垂れ流すコラーゲンの嘘
1番極端にはコラーゲンでしたかね。
コラーゲンというのはタンパク質ですから、タンパク質がそのままというのはあることはあるんですけど、非常にまれなケースではあるんですが、タンパク質がそのまま、牛肉を食べると自分の肉が牛の肉になるって、そういうことはないんですよね。
牛肉を食べるといったん牛肉を全部アミノ酸に分解して、そしてそれを人間用に組み立てて、人間の肉として蓄積するという、そういうふうになっているわけですね。
ですから何を食べたらこうなる、なんていうことはないわけで、コラーゲンなんて食べたって1回全部分解されちゃうんですから、それをもう1回コラーゲンが必要なところで組み立てるんですけれども、
身体がコラーゲンが必要ないと思ったら組み立てませんから、作り直しませんから、だから何の意味もないわけですよね。
こういった基本的な誤解、これはもともとは栄養学者とか生物学者が、そういうテレビが出てくるごとに、いやこれは違いますよ、食品はいったん分解されますから、そういう例外もありますと、例外があることはあるんですが、
通常に考えるのは、食べ物を食べたらそれを1回分解し、人間の身体はそこから自分に必要な原料を探し出して、それで人間の体に必要なものを組み立てるんだ、これが基礎ですよ、ということを口酸っぱく言わなきゃいけないわけですね。
TVでカットされる健康を害する食事法
私なんかもそれを口酸っぱく言っているものですから、すぐテレビ番組を下されちゃうんですけど、それは専門家としてはテレビ番組下されるかどうかじゃなくて、やっぱり自分の学問的信念に基づいて言わなきゃいけないわけですね。
そうしますと、成分は多い方が基本的にはいいんですね。
偏った食事をすると健康を害する、これは正しいわけです。
つまり、食事というのは原料供給ですから、例えばたくあんを食べればたくあんが自分の腕になるとか、そういうんじゃないんですね。
たくあんが1回分解されて、たくあんとして食べた中の物質が作り直されて、腸になったり顔の皮膚になったりするわけですから。
ところが成分が少ないと、身体がこれが必要だから合成しようと思っても、合成できないわけです。
癌になる確率を高める食事の仕方
1番僕がよく学生に言ってたのは、血の中にあるTNFといったガン壊死因子なんかは、非常に構造が複雑なんですね。
したがってラーメンばっかり食べてたらそういったものは合成できないよと、具体的に示しました。
これとこれとこれは足りなくなっちゃうよと、どこからとるの、ガン壊死因子がなくなったらガンになるよ、これができるだけまんべんなく食べる、偏らないことがいいことだ、ということですね。
もう1つ非常に重要なのが、日本人に必要な成分ということですね。
これはもちろん当たり前ですけれども、地方によって、地球上全部が同じものを食べているわけじゃないわけですね。
あるところは米、あるところは麦、パン、あるところは肉がとれ、あるところはヨーグルトがあり、ということになっているわけですね。
そうしますと、1回分解されたものを再合成するときに、日本人はどういうものを再合成して、何年くらいで合成工場ができるかというと、いろんな具体的な例があって挙げにくいんですけれども、最短で1万年くらい、最長で500万年くらいかかるんじゃないかっていうのが、全体の感じなんですね。
自分の中に合成工場ができる。
だから新しいものを食べてその中に特殊な成分があっても、それを合成することができないわけですね。