第72代横綱 稀勢の里関 引退を発表
2019年1月16日、大相撲、第72代横綱である稀勢の里関が、引退を発表されました。
調子の良さが報道されるなど、日本中が稀勢の里関の復活を望んでいましたが、初日から3連敗と勝ち星を挙げる事が出来ず、昨年秋場所、千秋楽を入れると、不戦敗の除き、8連敗という不名誉な記録となってしまっていました。
引退は、稀勢の里本人から、師匠の田子ノ浦親方に、「引退させてください」と申し出があったといいます。
稀勢の里関は、引退後、年寄・荒磯を襲名する事が決まっており、今後は後進の指導にあたる立場となる事を決断されています。
稀勢の里 初優勝と横綱昇進
2017年に初優勝を果たした稀勢の里関は、2017年1月25、第72代横綱に昇進します。
白鵬、日馬富士、鶴竜という、日本の国技である大相撲の横綱が全てモンゴル人が占めているという状況で、日本人の横綱の誕生は、日本中が待ち望んでいるものでした。
そのあまりにも大きな期待が、稀勢の里関にのしかかります。
稀勢の里の引退を早めた日馬富士との取り組みと大怪我
初優勝を果たした勢いをそのまま、横綱としての初場所となった2017年3月場所でも、12連勝と好調だった稀勢の里関を、悲劇が襲う事になります。
13日目、横綱 日馬富士の取り組みの際に、土俵下に左肩を叩きつけ、大怪我を負ってしまいます。
大怪我を負った横綱 稀勢の里関でしたが、肩をテーピングで固定し、強行出場を続けます。
そして、1敗で並んでいた照ノ富士関に勝利し、逆転優勝を果たされました。
新横綱 稀勢の里関の、鬼気迫る感動的な逆転優勝に、日本中は歓喜しました。
ですが、結果的には、この肩に負った大怪我と、無理を押しての強行出場が、稀勢の里関の横綱としての命を、縮めるという結果になってしまいました。
この稀勢の里関の幕引きは、ある大横綱の姿と重なるものがあります。
平成の大横綱 貴乃花を追い込んだ怪我と強行出場
怪我を押して出場する姿は、人々の感動を呼ぶ一方で、力士生命を奪ってしまう、非常にリスクの高い行為という一面もあります。
2001年の5月場所、平成の大横綱 である貴乃花関も、武双山関との取り組みで右足の半月板損傷という大怪我を負ってしまいます。
ですが、幕内優勝がかかっていな貴乃花関は、周囲の休業勧告を振り切り、強行出場をします。
そして、横綱 貴乃花関は、優勝決定戦で横綱 武蔵丸関を破り、奇跡的な逆転優勝を果たし、日本中は歓喜しました。
ですが、結果的には、この右足に負った大怪我と、無理を押しての強行出場が、貴乃花関の横綱としての命を、縮めるという結果になってしまったわけですね。
稀勢の里を引退に追い詰めた激励
日馬富士関との取り組みで、右肩に大怪我を負った、稀勢の里関は、その後、出場と欠場を繰り返し、怪我前の輝きを見せる事が出来なくなってしまいます。
そして、そんな横綱 稀勢の里関に対して、日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会は、2018年11月26日に、満場一致で「激励」を決議する事になります。
「激励」はただ単に「頑張れ」と応援しているわけではなく、ある種の「ペナルティー」「最後通告」的意味合いがあるといいます。
横綱審議委員会は、成績が振るわない横綱に対して、「激励」「注意」「引退勧告」が出来るといった決まりがあるんですね。
「激励」決議された横綱の成績が振るわないなどあった場合、横綱審議委員会は「注意」を勧告し、最終的には「引退勧告」まで勧告できるというわけですね。
この勧告には「強制力はない」とされていますが、横綱にとって「引退勧告」を出されるという事は、非常に不名誉な事であり、引退勧告を出される前に、自ら引退するのが定例です。
更に、横綱審議委員会は、横綱 稀勢の里関に対して、2019年1月13日から始まる初場所への出場も勧告します。
つまり、稀勢の里関は休場する事も許されず、結果を残せなければ「引退勧告」を迫られるという状況にまで、追い詰められてしまったというわけです。
降格という選択肢の無い横綱 稀勢の里関としては、非常に苦しい選択を、迫られたというわけですね。
初日から3連敗 横綱 稀勢の里 引退を発表
2019年1月13日初場所、日本中が、横綱 稀勢の里関の復活に期待しましたが、初日から力なく、3日目には栃煌山関に敗れ、3連敗を喫してしまいます。
国技館全体から、そして稀勢の里関自身からも、悲壮感が漂う、重苦しい空気が立ち込めている印象でした。
そして、2019年1月13日初場所から4日目、稀勢の里関は、自身で引退を決断されたというわけです。
稀勢の里関は引退会見で、
「土俵人生において、一片の悔いもございません」
やれる事は全てやって、これが精いっぱいだったという事なのでしょう。
相撲ファンとしては、「本当にお疲れ様でした」「ありがとうございました」という気持ちでいっぱいでしょうね。
今後、稀勢の里関は、年寄・荒磯を襲名し後進の指導のあたられるという事ですから、今後のご活躍にも、期待したいところですね。