サイコパスによる凶悪犯罪
1885年の米国 ケンブリッジ病院
ジェーン・トッパン28歳
看護士として働くジェーンは、陽気な性格から同僚からも患者からも愛されていました。
ですが、そんな彼女をある日、悲劇が襲います。
ジェーンが担当する患者が、立て続けに2人も急死したのです。
ジェーンの患者ばかりに不幸が続く…
ほどなくジェーンは病院を去ります。
その後、家に住み込みの看護師となったジェーンは、各地を転々とする事になります。
冗談好きで陽気なジェーンは、どの家でも喜んで受け入れられました。
ジェーンが10年の間に渡り歩いた家は実に数十件…
そんな生活に終わりが突然訪れます。
「ジェーン・トッパンさんだね」
「殺人の容疑で逮捕状が出ている。署まで同行してください」
ジェーンは警察に逮捕されてしまったのです。
「刑事さん達が来ていなかったら、この家の人たちも、今頃冷たくなっていたわ」
容疑は31人に対する殺人でした。
被害者は、彼女の患者ばかり…
ジェーンは、殺人を犯す度に、働き先を変えていたのです。
警察に逮捕されたジェーンは、悪びれる事も無く、残忍な犯行の手口を語り始めました。
まずは、患者を麻酔薬で眠らせ、そして、今度はすかさず興奮剤で起こす…
何度も何度も、患者に苦しみを繰り返し与え続けていました。
ジェーンは、人の死を楽しんでいたのです。
「別に患者に恨みがあったわけじゃないわ」
「私がした事がどれほど悪い事なのか、全然分からないのよ」
猟奇的な殺人犯のジェーン・トッパンの猟奇的な事件に、世間は震撼するかに思われました。
ところが、世間の反応は意外でした。
「あんなにいい子が凶悪犯なわけが無い!」
「きっと何かの間違いだ!」
「ジェーンはきっと騙されているだけだよ!」
ジェーンを知る人々から、擁護する投書が相次いだのです。
犯行は精神疾患による突発的なものといった憶測もある中、ジェーンは新聞紙上に衝撃的な告白をします。
「本当は、少なくとも100人は殺しているわ」
「可哀そうな人を殺してあげたかったの」
「精神錯乱なんかじゃないわ」
常軌を逸した猟奇殺人者のジェーン・トッパンは、結局、精神科病院に送られる事になります。
何が彼女を変えたのか?
ジェーンは後にこう語っています。
「薬を使うっていう殺し方は、16歳の時に思いついたの」
「結婚を約束した恋人に捨てられたからよ」
「もし私に夫がいて子供がいて、普通に結婚していたら、殺人なんかやらなかったと思うわ…」
なぜジェーンの犯行に気づかなかったのか
よく考えれば、気づくポイントはいくつもあったはずです。
異常な虚言癖、ナルシスティックに悲劇のヒロインぶる、職場を転々とする…
職場を転々とするという事は、嘘がばれてしまわない為、という目的があったからに他なりません。
人の脳は、疑うよりも信じたいという方向に働く傾向があります。
ジェーンの行動には不可解な点が多かったものの、陽気なあのジェーンが、そんな事をするはずが無いと、信じたい力が働いてしまったと言えるでしょう。
サイコパスは生まれつき?
サイコパスは、生まれつきの要素が高いと言われています。
生まれつきの要素が高いとはいえ、その後の生い立ちにより、その能力を社会の為に活かす事が出来るタイプもいます。
それがいわゆる勝ち組のサイコパスと呼ばれるタイプです。
サイコパスの全てが、犯罪者になるというわけではないのです。
発明王エジソンもサイコパス
発明王のエジソンもサイコパスだった可能性が高いと言われています。
ある日、エジソンの工場が火事になってしまいました。
するとエジソンを、すぐさま父親に電話をしました。
一体なぜ、エジソンは父親に電話をしたと思いますか?
…
エジソンは父親に、
「こんなに大きな火事、滅多に見られないから一緒に見よう!」
と誘ったのです。
夜中の工場の消火活動の大変さを見て、エジソンはサーチライトを発明したと言います。
能力を犯罪の方向に使う人ばかりではないというよい例だと言えるのでないでしょうか。