クラシックを聴くと頭が良くなるといった俗説があります。
いわゆるモーツァルト効果と呼ばれるものです。
子供が生まれたたら、「クラシックを聞かせて頭をよくさせたい」と考えている方には、聞きたくない話かもしれませんが、
残念ながら、完全な嘘っぱちです。
なぜモーツァルト効果の嘘が定着したのか?
モーツアルト効果の俗説は、1993年に科学雑誌のネイチャーに掲載されました。
学生にモーツアルトを聞かせると、テストの点数が上がるらしいという事を実験した人達が、ネイチャーに発表したのです。
ところが、その6年後、サイコロジカルサイエンスという玄人向けの心理学の雑誌が、検証実験を行ったところ、真っ赤な嘘だったという事が証明されたのです。
つまり、モーツァルト効果には、全く再現性が無いという事です。
モーツァルト効果の嘘がバレない理由
ネイチャーという雑誌は、科学に興味がある一般的な人達も読むような、商業的な雑誌であるため、それによって強いインパクトを与えました。
一方で、サイコロジカルサイエンスという雑誌は、いい雑誌ではあるのですが、一部の学者しか読まないマニアックな雑誌です。
そのため、一般的なネイチャーしか読まない人は、未だにモーツアルト効果を信じ、否定されたという事実を知らないままなのです。
ネイチャーのような商業雑誌は、たとえ嘘でも、真実として広まってしまうという危険性があります。
事実、「クラシックを聴くと頭が良くなる」といったモーツアルト効果の嘘は未だに流布していて、信じている人が多いという残念が現実があるのです。
モーツァルトを胎児に聞かせると骨が強くなる嘘
その後、モーツァルトは、胎児や新生児にも効果があるという嘘を、本にして出版する人も現れました。
そして、残念な事に、その本の嘘を信じた米国のある州の知事は、「新生児にクラシックCDを配ろう」などといった戯言を言い出し、10万ドルの予算を請求したところ、議会が承認し通してしまったのです。
完全な嘘とも言い切れないのかもしれませんが、全く信憑性のない実験に基づいた知見に基づき、予算までもが通ってしまった現実があるのです。
その話が呼び水となり「あの州であんな事をやっているらしい」といった形で、一般に俗説が信じられてしまうといった、負のスパイラルに拍車がかかってしまったのです。
その結果、今でもその事を信じている人がいて、
「胎児にモーツアルトを聞かせると、骨が太くなる」
「胎児にモーツアルトを聞かせると、知能が上がる」
といった残念な嘘に騙され続けている、残念な現実があるのです。
自分の好きな音楽を聴くと作業効率が上がる
では、音楽には何の力も無いのか?といったら、そういうわけではありません。
その後、別のグループが研究した結果、自分の好きな音楽を聴きながら作業をすると、作業効率が上がるという研究結果が報告しています。
つまり、音楽は「モーツァルトでなくてはならない」という事は無いという事です。
子供に対して、一律にこの音楽を聴いたら頭が良くなるなどと、一般化する事は今の所、出来ません。
ヘビメタやハードロックを聞かせると点数が上がる
ヘビメタやハードロック音楽を聞かせると、成績優秀者に関しては、不安の度合いが下がって、テストの点数自体は、高くなるといった研究結果が報告されています。
そのため、成績優秀者には、ヘビメタやハードロックを聞かせるとよいかもしれません。
成績優秀者の多くは、内向的なタイプが多く、不安も高いという傾向にあるため、ヘビメタやハードロック好きな人が、意外と多いとも言われています。
音楽は、脳に与える影響が大きいというよりも、リラックス効果の方が大きいと言えるでしょう。
残念ながら、
「モーツァルト効果は、ありませ~ん」