なぜ船戸結愛ちゃんを救う事が出来なかったのか?
結愛ちゃんは、児童相談所に、保護されていた事もあるといいます。
それでは一体なぜ、結愛ちゃんの命を救ってあげる事が出来なかったのでしょうか?
非常に危険な義理の父親の凶暴性
結愛ちゃんの母親、は、結愛ちゃんを生んだ後に離婚し、再婚されています。
つまり結愛ちゃんは、実の父親ではない母親の再婚相手の男性から虐待を受け、殺されてしまったのです。
結愛さんの母親と、再婚相手の間に子供が出来てからは、結愛ちゃんへの虐待は、更に酷くなったと言います。
実の父親でない相手の男性からの虐待は、非常に多いのです。
結愛ちゃんは、
「パパ、ママ、いらん」
「まえのパパがよかった」
などと、語っていたと言います。
結愛ちゃんは、このアパート中で、義理の父親から虐待を受け続けて、母親にも、児童相談所にも救われる事なく、命を奪われてしまったのです。
虐待を受けて亡くなった2歳の女の子である今西希愛ちゃんの場合も、母親が再婚した男性からの虐待が原因でした。
画像出典:enbeyond.com
2歳で亡くなった今西希愛ちゃんは、再婚相手の男性から、性的暴行を受けていた可能性も高いとも言われています。
再婚相手が、自分以外の男の子供に、凶暴性をむき出しにするケースが多く、抵抗する手段のない子供にとって、非常に危険なわけですね。
虐待の事実を把握していた香川県の児童相談所と警察
結愛ちゃんの母親と再婚相手の父親は、元々香川県に住んでいたそうです。
再婚相手の父親は、香川県に住んでいた時も、結愛ちゃんに虐待をし、2度も傷害容疑で書類送検をされています。
2度とも「起訴猶予」「嫌疑不十分」といった理由で不起訴となっているようですが、日常的に虐待の事実があるという事は、この頃から明らかだったわけです。
近所の人が、結愛ちゃんの酷い泣き声を聞き、心配して、児童相談所に通報もしています。
12月25日のクリスマスの日に、たった一人で、下唇が切れ、まぶたの上にたんこぶと作った状態で歩いているのを近所の人が目撃し、香川警察に保護され、その後、児童相談所が対応し一時保護施設に保護されたりしているわけです。
つまり、近所の人も、警察も、児童相談所も、結愛ちゃんが虐待を受けていた事実は、把握していたという事です。
虐待としつけの境界の難しさ
虐待の問題に関して、虐待としつけの境界を見分けるのは、非常に難しいといいます。
結愛ちゃんの父親に関しても、虐待としつけの境界を見分ける事が難しく、
例えば、
「しっかりお辞儀をして挨拶をしなさい」
「歯磨きを自分でしなさい」
「市販のおやつは食べたらダメ」
「野菜中心の食事をしなさい」
などといった感じで、これだけで虐待であると判断する事は困難であった事情もあるようです。
ですが、体中を殴られ、ケガやあざが絶えず、成長期で栄養が必要な5歳の子供に「モデル体型を維持しろ」などといって食事を与えないなど、明らかに異常な事を強要しているわけです。
また現実的な話、結愛ちゃんにとって、義理の父親は、法律的には父親なだけであって、法律以外には何の関係も無い、大人の男性なわけですからね。
母親が守らないのであれば、こんなに恐ろしい状況は無いわけです。
結愛ちゃんを見殺しにした香川県児童相談所の対応
結愛ちゃんが2度目の一時保護をされた際に、結愛ちゃんに対する義理の父親からの虐待がある事は明らかであるため、医療機関などは、児童相談所に対して、
「家庭裁判所の承認を得て、保護者の同意が無くても児童養護施設に入れる措置を検討してはどうか」
といった提案をされていたといいます。
ですが、児童相談所は、その提案を聞かず、家庭裁判所への提案をする事は無かったといいます。
虐待を加速させる社会からの孤立
香川県に住んでいた結愛ちゃんの両親は、「義理の父親の友達が多い」との事で東京に引っ越す事になります。
この事によって、結愛ちゃんの不幸は加速していきます。
香川県に住んでいた時に通っていた保育園も、東京では通わせて貰えなくなってしまいます。
また、結愛ちゃんの両親は、児童相談所の担当者に、転居先も教えなかったと言います。
社会との孤立は、虐待を加速させてしまう可能性が高い、非常に危険な事です。
このような危険な状況であるにも関わらず、児童相談所は結愛ちゃんの家族が東京に転居する直前である2018年1月4日に、児童福祉司の指導を解除してしまいます。
香川の児童相談所は、結愛ちゃんの家族が東京に転居した事を警察に連絡していなかった事も判明し、児童相談所と警察の連携も、全く取れていない実態が明らかになっています。
この事によって、結愛ちゃんの孤立は一気に加速して行きます。
結愛ちゃんが東京に引っ越したのは、2018年の1月の話です。
全く連携が取れていない児童相談所の実態
結愛ちゃんと家族が香川県から東京へ引っ越してしまった事によって、香川県の児童相談所との関係は切れてしまいます。
結愛ちゃんへの虐待がある事は明らかで、東京への引っ越しにより孤立が高まる危険な状況であったにも関わらず、児童相談所の対応は杜撰です。
香川県の児童相談所は、厚労省が虐待の危険性を把握するために作成する事も求めているチェックシート「アセスメントシート」の作成もしておらず、結愛ちゃんへの虐待のレベルは、中程度であるとされていました。
香川県の児童相談所から、品川の児童相談所に引き継ぎが行われたようですが、事案の経緯が分かる程度の資料と電話での説明が行われただけだったようです。
結愛ちゃんへの虐待の実態は分かるような写真であったり、危険性を把握するために必要なチェックシートの提出もありませんでした。
香川県の児童相談所が、虐待のレベルを中程度であるとし、転居の直前に児童福祉司の指導を解除している事もあって、品川の児童相談所に、結愛ちゃんへの虐待のレベルが深刻であると、伝わっていなかった可能性があります。
児童相談所と警察の連携も取れていませんが、児童相談所同士ですら、まともに連携が取れていない、杜撰な実態が明らかになったというわけです。