人生を美しくするためのポイント
人付き合いは腹6分目
君子の交わりは淡きこと水のごとしという、三島由紀夫さんがね、お亡くなりになる前に私の楽屋にみえて、最後のお別れにいらして、その時に、
「なんでこんな18年もお付き合い願えたんですかね?」
と言ったらね、
「僕が嫌いな人間は、膝の上に上がって来たから頭を撫でてやったら、いい気になって肩までのぼってくる」
「ほっといたら頭の上までのぼって、顔まで舐めだす奴がいる」
「俺はそういう奴が大嫌いだから」
「君にはそういう所が無かったからね」
と言われたんですね。
「私もそういうのはもう、本当にね大っ嫌いですから」って言って、
「それが縁なんですね」って。
いい奥さん、いい旦那さんになる必要はない
だから私は結婚式でも、祝辞を頼まれた時にね、
「いい奥さん、いい旦那さんになってください」
って、皆さんおっしゃるじゃないですか。
「そんなものになる必要はない」と。
いい旦那とか、いい奥さんとか、いい母親とか、いい子供になろうとすると、例えば仕事場でも、いい上司であろう、いい同僚であろう、いい部下であろうとね、ゴマをすってみたり、上から押さえつけるなど、色々小細工をするじゃありませんか。
ね、駆け引きを。
いい妻とか、いい夫とか、そういった事よりも、
「いい人間同士でいましょうね」と。
それを心がけていればいいです。
そうでしょ。
妻とか、夫っていうのは単にきごですよ。
元は何です?っていったら人間ですよ。
威張る必要もゴマをする必要もない
仕事場でも、課長だとか部長だとか社長だとかそういう風に思わないで、足の引っ張り合いも無いし、威張る必要も、ゴマをする必要もないから。
いい人間同士で、今度、短い人生のひと時をね、一緒にお仕事しましょうねと。
「いい人間同士でいましょう」
としていれば、うまく行くんですよ。
腹6分目というのは…
人はゴミ箱ではない
人はゴミ箱じゃ無いんですから。
だからね、水臭くない人ってどういう人かといったら、自分にとって便利な人なんですよ。
悩みも聞いてくれる、お金が無かったら貸してくれる、都合もやってくれる、とにかく色んな無茶やなんかも全部聞いてくれる、相談事にも乗ってくれる…
自分に都合のいい人が、水臭くない、いい人なんですよ。
そうでしょ。
だから、親友というのは何をもって親友と言うかっていうと、そういう言葉が出てくるんですよ。
「それじゃ、あんた、人をゴミ箱だと思ってんでしょ」
って言ったの。
人に必要な心意気
だからね、心意気が必要なんですよ。
「決して人様には迷惑をかけません」
「自分の始末は自分で責任を取ります」
というつまりね、キリっとした、その自分自身に対する意気地ですよね、プライド。
それがあればね、お互いに気遣いがあるわけですよ。
そうしたら、その人が困っているなと思ったら、
「お手伝いしましょうか?」
って言ってあげる。
「じゃあ、お願いします」
それが、格好いいじゃありませんか。
土足で踏み入られたくない領域
だから、思いやりの心を持ちながら、夫であっても、妻であっても、やっぱりねズカズカとね、土足で踏み入られたくない部分を、誰でも持っているんですよ。
それを、「どうしたの、どうしたの」と言ってね。
下手なホームドラマみたいにね。
近所のジジイやババアがね、そこのうちの息子夫婦がね、恋愛したとか会社で何かあったら、もうほんと、土足でどんどん踏み込んでみたいな、ああいうくだらないホームドラマ、大っ嫌いなんですよ。
「余計なお世話だ」っていうんですよね。
だから、困っていれば助けてあげる。
思いやりをもって、それで自分自身は、人様にはなるべく迷惑をかけない。
それがやっぱり、自分自身のプライドで、悔いのない人生を送られるじゃありませんか。
そうするとね、争いもね、人殺しも起きないんですよ。
だって、腹10分くらいでやるから、自分の持ち物だと思っちゃうんですよ。
子供でも。
自分の子供だと思って、持ち物だと思ってるから。
だから、夫でも妻でも、「まったくだらしがないわね」「万年、平課長なんかでさ」であったり、そういう事は言っちゃあいけないんですよ、人に向かって。
そうでしょ。
誰だって、好き好んで才能が無いわけじゃないんだから。