なぜ120本もの在庫があったのか?
「ヘヤシュ」のメーカーによると、毎月30本の除菌消臭スプレーをアパマンショップの不動産事務所に送っていたといいます。
ではなぜ120本もの在庫を貯め、ガス抜きをするような事態になってしまっていたのでしょうか。
アパマンショップリーシング北海道の佐藤大生社長によると、120本ものスプレーのガス抜き処分に関して、「理由の1つに未施工があったと聞いている」と語っています。
画像出典:article.auone.jp
部屋の除菌清掃作業は、部屋の消臭除菌代金を入居希望者から1万円~2万円を徴収し、希望者に対して行っていたサービスだといいます。
「ヘアシュ」という原価1000円程度の除菌消臭スプレーを設置し、ボタンを押すと除菌消臭のガスが噴出され3~4分終了するとの事。
要するに、入居者からお金受け取っていたにも関わらず、その作業を行っていなかった可能性があるというのです。
作業を行っていないため、除菌消臭スプレーが余ってしまい、その事実を隠すためにスプレーを処分していたのではないか、といった疑いもあるようですね。
札幌市はスプレー缶の処分に穴あけは不要
自治体ごとで確認が必要なのですが、札幌市では2017年の7月から、危険性等を考慮し、スプレー缶を処分する際、スプレー缶への穴あけが不要となり、中身の見える袋に入れて出すだけでよい事になっていたようです。
50万人以上の自治体では、スプレー缶の処分に、穴あけをする必要がない場合の方が多くなっており、この事件を受けて、更に多くの自治体が、スプレー缶への穴あけを不要とする流れが広がる可能性があります。
アパマンとアパホテルの関係は?
アパと聞くと、アパホテルの社長の顔が浮かんでしまう方もおられるかもしれませんが、アパマンとアパホテルは、関係がない会社です。
大爆発を引き起こしてしまった原因
今回の爆発の原因は、「ヘヤシュ」という除菌消臭スプレーに含まれている可燃性ガスが部屋に充満し、そのガスに引火した事が原因ではないかと言われています。
都市ガスやプロパンガスなどといった可燃性のガスは、基本的に、無色・無臭です。
ですので、都市ガスやプロパンガスが部屋の中に充満していても、人間は気づくことが出来ません。
ですが、それだとあまりに危険ですので、空気中にガスが混入したら、1000分の1レベルでも、臭いが分かるようにしなければならないと、法律で決められているんですね。
ですが今回の原因となった「ヘヤシュ」という除菌消臭スプレーは、可燃性ガスが含まれているにも関わらず、部屋の臭いを消すという特性上、部屋に充満していても、その危険性に気づきにくかったわけです。
もちろんメーカーとしても、密室で120本もの消臭除菌スプレーのガス抜きが行われる事を、想定出来ていなかったわけですね。
一般家庭であれば、120本もの消臭除菌スプレーのガス抜きをする事は、まず考えられません。
ですが、「ヘヤシュ」は業務用の商品であるため、アパマンショップは、大量に在庫をかかえてしまっていたわけです。
そして、密室で120本もの除菌消臭スプレーのガス抜きが行われた。
除菌消臭スプレーという製品の特性上、ガスの充満を把握する事が出来なかった。
部屋に着火タイプの給湯器が存在した。
これらの条件が重り、大爆発が起こり、家屋は吹き飛び、42名以上の負傷者を出してしまうという、不幸な事故が起きてしまったというわけですね。
死者が出なかったという事だけが、唯一の救いかもしれませんね。