日本の経済的価値観は本当に古かったのか?
だから今、百田さんが言われた通りで、従業員にこれだけ辞めて貰うんだったら、出血を強いるっていうんだったら、自分の役員報酬をどころか、色んなものを返上しても頑張るというのが、日本的な価値観だったはずなんですよ。
ですが、今日、グローバル経済の中では、日本的な経営、あるいは経済的な価値観は「古いものだ」「遅れている」「ダメだ」という風に思わされている事が、本当に正しかったのかって問い返さなければいけない。
私たちは、私たちの経済活動の考え方があってよかったんじゃないかというのをね、もう一度日本人が考え直すきっかけに、これはならなければいけないと思いますね。
日本人が知らない出光佐三という日本人
だから、ゴーンさんなんかに言わしたら、「いやいや、2万1千人首を切ろうが、株主が喜んでるよ」ってなもんやろうね。
だって、会社は株主のもんだもん。
従業員のもんじゃないんだもん、という考えですね。
その正反対が、私が書いた、今上島さんに仰っていただいた、「海賊と呼ばれた男」の出光佐三ですよね。
出光佐三はいわゆる、「従業員は家族と一緒や」と。
だから彼、戦後一番、会社の資産を殆ど失った時、重役たちが、出光佐三は会長ではなく、店主と呼ばせていたんですけど、
「店主、もう社員を全員首を切るしかありません。」
と言われた時に、一人も首を切らんと。
「社員は全員わしが食わす」
いうて。
自分の個人資産を投げ売って、社員を食わせたんですよね。
「黄金の奴隷たるなかれ」と言った人ですからね、出光さんはね。
出光佐三の経営理念
そう、そう。
だから、今はね、出光興産も株式上場して、株式会社になりましたけれども、出光佐三の時は、一切上場しませんでしたからね。
株なんて全くしなかった。
会社を上場したら、会社は株主のものになっちゃうと。
会社は自分たちのものなんだと。
つまり、経営者と労働者たちの一丸のものなんだとね。
この会社は面白い会社でね、首が一切ない、そして定年がない。
それから、タイムカードが無いんですよ。
今の会社は、行ったらタイムカードをガチャンとやりますよね。
要するに、「今日は何月何日」「今月は何日働きました」「何時から何時まで働きました」っていうねんけど、出光興産は、出光佐三の時は一切無かったんですよ。
そんなものはいらんと。
わしは、君らに信頼して仕事を任しておるんだと。
君らはその信頼に応えて仕事をやってくれと。
だから、残業手当も無いんですよ。
しんどかったら休んだらええと。
一生懸命やる時は、一生懸命やってくれと。
ある意味で、色々な事を先取りされていたかもしれないですよね。
まさにそう。
ほんで、定年も無い。
年齢で定年はおかしいと。
人間というのは、働いて働いて働いで、元気があるまで働くんだと。
俺は十分に働いたと思った時がそいつの定年だと。