徴用工裁判で、韓国の最高裁判所が下した判決に、いま大きな波紋が広がっています。
徴用工とは
徴用工とは、第二次世界大戦中、日本が統治していた朝鮮半島から、日本に来て働いていた労働者の事です。
徴用工裁判判決への河野外相の発言
「(日韓)関係の一番の法的基盤が、非常に根本から損なわれたということを、日本としては非常に重く見ている」
と懸念をあらわにした判決。
それは2018年10月31日、韓国の最高裁が、日本企業の新日鉄住金に対し、韓国の元徴用工4人におよそ4000万円の賠償を命じた確定判決です。
そもそも、徴用工とは、第二次世界大戦中、日本が統治していた朝鮮半島から、日本に来て働いていた労働者の事。
元徴用工の4人は、「日本で強制的に働かされた」として損害賠償を求めていたのです。
しかし、この徴用工の問題について、日本と韓国の政府はこれまで、「賠償問題は解決済み」という立場を取っています。
なぜなら、日本と韓国は、終戦から20年後の1965年、国交正常化の際に、日韓請求権協定を取り交わしているため。
日韓請求権協定とは
日韓請求権協定とは、日本が、韓国に対して、5億ドルの経済支援を行う事で、両国の国民間の請求権問題が、「完全かつ最終的に解決する」と合意したのです。
当時の日本は、佐藤榮作(さとうえいさく)総理大臣
韓国は、朴正煕(パクチョンヒ)大統領
当時韓国は、日本からの5億ドルをもとに、製鉄所、道路網などのインフラ整備を進め、「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる経済復興を成し遂げたのです。
ところが、その後、元徴用工たちが、日本企業に対して損害賠償を求める裁判を起こしたのです。
そして2012年、韓国の最高裁判所は、「個人の請求権までは消滅していない」と判断。
高等裁判所に差し戻しました。
高裁では賠償命令が出され、今回の確定判決に繋がりました。
徴用工裁判の今後の懸念
実は、元徴用工が日本企業を訴えている裁判は、他にも14件あり、請求総額は、およそ23億円にのぼります。
しかも現地メディア、中央日報によると、
戦時中に徴用工として働いた韓国人は21万6992人いて、生存者はおよそ3500人としています。
また、元徴用工が死亡しても、遺族が訴訟できるともしており、今回の最高裁判所の判決を受け、新たな訴訟が、次々に起こる事が懸念されているのです。
徴用工裁判判決への安倍総理の発言
今般の判決は、国際法に照らしてあり得ない判断であります。日本政府としては、毅然と対応してまいります。
と、日本政府として、強い口調で反発をしています。
徴用工の末裔が、日本の公共用地や、民間の工場の敷地を不法占拠し、70年以上住み続けている。もともと住んでいたわけではなく、戦後のごたごたのなかで、工場の敷地にバラックを建て、水道や電気を引いて生活しているという問題だ。ムンさんに、謝罪と賠償をおねがいしたい。