安田純平氏を英雄視する玉川徹氏への橋下徹氏の警鐘
羽鳥さんがね、僕と玉川さんの意見、ジャーナリズムの意義のところではあまり違いが無いという風にいわれましたけれども、ここから決定的に違うんですよ
今から僕の考えを伝えさせて貰って、玉川さんの意見を伺いたいのですが
まず、報道の自由の必要性は、ここは、玉川さんと一緒です
やっぱりこれは、今は僕は民間人ですけれども、大阪府知事、大阪市長、それから国政政党の代表を務めて、ある意味、権力を持った立場です
権力を持った立場からするとですね、報道というのは、本当に鬱陶しいですよ
報道の自由が無ければね、それはやりたい放題出来ます
羽鳥さんの番組もそうだし、ABCのキャストという番組、あれは本当に鬱陶しかったですよ
でも、それが無いとね、僕がほんと好き勝手が出来るなと思ったので、報道によって権力をチェックする、これは絶対に必要
ただ、僕の玉川さんの考えとの決定的な違いは、玉川さんはね、なんかジャーナリストを特別視してる
なんか特別な職業のように位置付けている所から、すべて、僕はなんか玉川さんの意見は違うんじゃないかなと思ってる
僕は、報道の自由は必要だけれども、特別視はしていません
というのはね、ジャーナリストか、弁護士とか、正義とか、プロフェッショナルを語る職業というのは、往々にして自分は特別だって思いがちなんですね
例えば、弁護士なんかは典型ですよ
1821年、もうかなり前ですけどね、刑事弁護の神髄というのを、ブルーム卿というのが、そういう著書を出したのですが、その中にこう書いています
刑事弁護人は、どれだけ社会に迷惑をかけても、被告人のために活動すればいいんだと
社会にどれだけ迷惑をかけてもいいんだと、それが刑事弁護人だ、と言っているわけです
いまだにこの考え方を引きずっている刑事弁護人は多いです
だから僕は、色々揉めました
光市母子殺害事件の弁護団と色々揉めましたけれども、僕は彼らの弁護方針は違うと思っている
でも、彼らは、それは社会正義のためだと思っている
でも、世の中からすれば、それはちょっと違うんじゃないの、と思われているところがある
だから、ジャーナリストをね、特別視してしまうと、それはあらぬ方向に行ってしまうから、一職業として普通に考えたらいい
でも、報道の自由は、僕は重要だと思っていますよ
あの、そこは実は、あんまり違っていなくて。今お話を伺うとね
特別視して、僕はいないです。ジャーナリストに関して
ジャーナリストを、例えば、そうだなぁ…社会に対して凄く大事な仕事をしている消防士の方とか警察官とか、みんな社会を支える重要な役割だと思っていますよ
その役割の違いは、特にないと僕は思っています
それだったら、今回、危険地域に行って、帰って来るだけで英雄じゃないですよ
それは仕事の中身を見ないと
それは、英雄論はまた後でちょっと出てくるんですけどね…
だから、仕事の中身をしっかり見ましょうよ、という事です
ジャーナリストだから、すべてこれは民主主義を守るね、職業で素晴らしいんだ、じゃなくて、何をやったのか、どういう仕事をやったのか、これは普通のどの仕事だってそうじゃないですか
一緒です、一緒ですよ
今はね、安田さんも今はいろいろと精神的に不安定な状況だから、今ここでいろいろ批判したり、バッシングしたりするのはね、もうちょっと待てばいいと思う
だから、ちゃんと記者会見を開いて、どういう映像を撮って来たのか、どういう事を暴いたのか
危険地域に行ってね、派手な紛争の映像を撮る、これはね、僕は仕事としてそんなに価値は無いと思う
そうじゃなくて、国際社会ではこう言われているけれども、こういう風に報道されているけれども、実はこうだったんです、とかね、そういう事を何か持ってきたという事であれば、これは凄い、拍手大喝采の事だと思いますよ
これはその、戦場ジャーナリストというものを全体として見る話しと、安田さん個人の話というのは、また別の問題だと僕は思っています
特に、今回は安田さんの話がね、ニュースとしてフォーカスが当たっているので、ジャーナリストについて今回は語っているのであって、ジャーナリストだけが他の職業に比べて、特別だというような話をしているわけではないです
ジャーナリストを特別視すると、やはり危険ですよね
プロフェッショナルマインドを持った人が、取材現場に行って、記録してそれを持ち帰る
安田純平さんはもうベテランで、イラクもシリアも含めてですね、本当に単に勇敢なだけではなくて、冷静に取材してきたわけですが、そういった人でさえも、こうやって足をすくわれて、拘束されるという事はそれだけ危険な場所
ジャーナリストが拘束、殺害ばかりが注目されますけど、その陰には、結局シリアも沢山の人が殺されているわけですからね、拘束も含めてですけど
だからあの、日本の場合、日本人ジャーナリストの拘束がワーッと盛り上がって、じゃあ肝心のシリアで何が起きていて、誰が住んでいて、誰が殺されているのか、そっちの方の話が全く話されない、語られないので、そこをなんか、非常に不本意ですよね
ここは変わらないと思うんですが、ただねジャーナリストも一職業だと、国民の知る権利に奉仕するんだ、それが使命なんだという事であればね、国民が何を知りたいのかという事も一生懸命探らなければ、プロフェッショナルとして成立しないと思うんですよ
もちろんね、シリアの状況そういう所を国民が知りたいというのももちろんそうだと思います。ただ、さっきも言いましたが、派手にドンパチやっているようなそいった所を見たいのではなくて、国際の報道機関が言っている事とは実は違うんだよという事であるとか、そういう所を知りたいし
もっと言えばね、これは一国民としての意見ですけれども、例えば今いろいろ報道で聞いているんだけれども、いまいちメディアでやってくれないね、中国政府が新疆(しんきょう)ウイグル自治区の方でウイグル人に対して、かなり酷い事をやっていると、収容所に入れたり酷い事をやっているとかね
そういう所も凄く知りたいわけですよ。そういう所もジャーナリストの皆さんには頑張って報じてもらいたいなと
なんとなく、僕の一般的な感覚です、国民の感覚ですけれども、派手な映像を撮りやすいような紛争地とかね、そういう所にみんな、こう行きがちであって、本当にここを暴かなければいけないという所に対して、ちょっと手薄なんじゃないかなっていう気はします
橋下さん、それは違うと思いますよ。今回はたまたまシリアの話にフォーカスが当たっているだけで、橋下さんもご存知のように日本の政治の問題を何とか暴こうとしているジャーナリストもいるし、警察の問題を暴こうとしているジャーナリストももちろん存在するし、チベット問題を暴こうとする人だって、世界中、いると思うんですよ
だから、たまたま今回シリアの問題に焦点が当たっているからそこに光が当たっているだけで、いろんな分野にいろんなジャーナリストがいる、それだけの事だと思いますよ
それはいいんですよ、いろんな分野にいてもらったらいいんだけれども、新疆ウイグルのね、そういう映像なんか全然出てこないじゃないですか。
でね、シリアの問題というのも非常に重要なのは分かりますが、一般の観光客ではないわけですよ。一般の慣行だったら、危険地域に行くのはよっと辞めてよ、不要不急のね、慣行なんていうのは、敢えてシリアでやる必要はないじゃないの。政府の手を煩わすのは、ちょっとどうなのというは、みんな合意できていると思うんですね
ジャーナリストといのは一般の観光客とは違うわけですよ。やっぱりそこが、行って、その現地の映像、なんか自分が危険な所にいて、映像だけ撮ってきましたっていうような話が多くないですか?
じゃあシリアで、ジャーナリストの皆さん、一生懸命頑張っているけれども、BBCとかCNNとかロイターとか色んなところで報道されている以上の報道価値があるものって何か報道されましたか?
それはあるんじゃないですか
どういった報道ですか?
安田さん本人も、自分がシリアで見聞きした事は、何とか伝えたいと仰っているそうですよ
それは報道されている事以上の何か違いのものっていうのはどういうものがありますか?
安田さんの今までのものをある程度見ましたけど、確かにね、子供たちの様子とかそういうものはいろいろ写っているけれども、でもそれは世界で言われている事以上の、何か暴いてきたとか、真実はこうだと、暴いてきたような[話というのは僕は今のところは…
いや~、それは優しくないんじゃないですか?だって、非常に極限状況の中で取材するわけだから、それはすべて成功するとは限りませんよ。でも、世界中の人がSyriaに入って、シリアの現状を伝えているという事は、橋本さんもご存知でしょう?そこから知り得ていることも、いっぱいあるじゃないですか
いや、だから、これは一つの職業という事で考えるのであれば、玉川さんがそこに同意してくれるのであればですよ、特別な職業では無くて一つの職業と考えるのであれば、普通の職業の人間が、何か仕事をやる時には、メリットとデメリットをきちっと考えますよ
これは後で話が出てくると思うけれども、今回の安田さんの事によって、何かデメリットが無かったのか?マイナス面が非常に多く無かったのか?そこをキチンと考えないと
だから、マイナス面とプラス面を考えて、何を報道するのか。これを報道するから、少々のデメリットは、ここは我慢してよと、こういう話をしないと、何か行く事だけで、ジャーナリストだけが世の中の全てだというような事になると…「