アントニオ猪木の拉致被害者への驚くべき発言
参議院選挙で、アントニオ猪木さんが、久しぶりに日本維新の会から出馬して、たくさんの票を得て当選した事、覚えていますか?
その後すぐに、彼は北朝鮮に行かれて、帰国してから日本外国特派員協会で講演されたのですが、その時拉致問題に触れて、例えば、
「拉致問題を解決したら、我々日本人は、幸せになれますかね?」
というような発言をされたという事で、僕の所にも、怒りや、嘆き悲しみのメールが大量に届きました。
中には、日本維新の会に抗議したという方もたくさんいらっしゃいます。
アントニオ猪木の酷い発言
本気で猪木さんは、北朝鮮の言い分が、正しいと思っていると思いますよ、僕は。
はっきり言って、酷い話です。
こんな人を当選させた有権者も、もう一度考えた方がいいと思います。
日本維新の会の橋下さんも、石原慎太郎さんも、もちろん考えなければいけません。
当選しそうだからと言って、こういう人を、議員にしてはいけない。
この人を私たちは6年間国費で支えるんですから。
アントニオ猪木の発言の裏にあるもの
そう考えますが、今日は、しかし今日は、別の視点も提供したいんですね。
別の視点というのは、この酷い発言を聞いた、拉致被害者の方や、あるいは民間のボランティアの人々、ずっと拉致被害者のために、あるいは家族の為に戦って来た人がいっぱいいるんですね。
そういう人たちは、本当に悲しんで、あるいは、内心で怒っていいらっしゃいますけれども、同時に、この発言の裏にあるものは何かという事を、とても冷静に見ておられる方も、少なからずいらっしゃるんですね。
僕は、この冷静な見方を紹介しておきたいんですけれども、まず、アントニオ猪木参議院議員の発言にこういう部分があります。
「日本の拉致被害者名簿の中にある、何百人か分からないけど、数字がどんどん変わっていく」
「その中には、日本で死んだ人もいる」
「そういうような名簿を北朝鮮に提出して解決しようとしても、これは北朝鮮からしたら、そんないい加減な事を言ってくるな!」
となるんですよと。
言葉は少し、そのままでは無い部分もありますけど、趣旨としては間違いなくこうです。
アントニオ猪木の発現に隠された北のメッセージ
で、これについて、例えば特定失踪者の問題。
これはご存知だと思いますが、政府が認定できないでいる拉致被害者の方々を、あえて特定失踪者と呼んで、もっと範囲を広げて考えましょう、という事を、長年運動されてきた民間の人の中からですが、こんな指摘があります。
すなわち、何百人か分からないというこの話は、警察が去年発表した、868人に及ぶ特定失踪者のリストの事を言っている。
そして、日本の中で死んだ人もいる。
つまり、北朝鮮に渡らずに死んだ人という意味ですが、これは、石川千佳子さんという特定失踪者の方で、実はこの方はですね、もう9年も前ですけど、平成16年に犯人が、私が日本国内で殺しましたと自首してるんですね。
既に時効になっていましたから、刑事事件にならなかった。
それを北朝鮮は前から、
「ほら見てごらん、嘘じゃないか」
という風に、拉致全体を否定する事に使ってきたんですね。
そして、拉致被害者の家族の方や、特定失踪者問題に取り組んできた民間ボランティアの方々は、こういう事件の事を、アントニオ猪木さんが知っているはずが無いと。
もちろん、これは推測ですけれども。
これはしかし、拉致事件に真剣に取り組んできた人でないと、むしろ知らない事です。
したがって、要はこれは、アントニオ猪木さんが、北朝鮮から言われたメッセージを、そのまま日本外国特派員協会で発言したんだろうと。
追い込まれている北朝鮮
つまりこれは、北朝鮮の本音を表していて、それが意味する事は、実は北朝鮮が追い込まれている事だと。
それは、金正日総書記という拉致事件を実際に指揮した独裁者が死に、その息子の金正恩さんが、今、独裁者になっています。
ところが、金正恩さんは、拉致事件には直接関わっていません。
従って、拉致事件の全貌を、この金正恩さんも知らない。
そして、拉致事件というのは、実は、北朝鮮の中でも工作機関いくつかが、功名争いをするかのように、たくさんの機関にありましたから、犯罪を犯した当事者である北朝鮮自身も、一体何人誘拐したのか、実は分からないでいる、という事を言っているんだと。
従ってですね、特定失踪者問題調査会の荒木和博さんという、拉致問題をずっと頑張ってきた、民間の方がおられるのですが。
アントニオ猪木発言の分析結果
この荒木さんは、という事は、北朝鮮の本音というのは、この868人という膨大な名簿の一方で、日本側、つまり第二次安倍政権が、ごく数人に絞ったリスとを提示してくれれば、話し合う余地はあるという事を、実はアントニオ猪木さんという、いわば日本の人気レスラーを通じて、必ずニュースにされるから、それを安倍政権側に伝えようとしたのではないか、という風に分析されているんですね。
実はこの分析を、機能の朝に、安倍政権の中枢の人物に直接ぶつけてみました。
すると、答えははっきりしてて、アントニオ猪木さんのこの発言は、北朝鮮のメッセージであるという分析は、我々の分析と同じだと。
そして、北朝鮮が実は、弱さを露呈したという、その見方も同じだと。
そのうえで、数人に絞ったリストなど、絶対に出さないと。
そして、実はこの868人という特定失踪者の数は、もちろん多すぎると思うと。
そして、第二次安倍政権の中枢は、実はある程度、本当に拉致された方々の人数を、絞って考えている。
しかし、それはもちろん数人なんて数ではない。
従って、北朝鮮のその手には乗らない。
むしろ大事な事は、北朝鮮の弱みが、こうやって伝えられたという事が大事であって、アントニオ猪木氏の、その参議院議員の発言や行動に憤る事よりも、むしろそこを冷静に捉えているという事を、安倍政権の中枢も言ったわけです。
そして、僕自身はどう考えているかというと、実はこの第二次安倍政権の冷静な姿勢を支持します。
そして、僕に寄せられた憤りのメール、その志、怒りは、まさしく、拉致被害者の家族、拉致被害者に寄り添う事であって、それも強く支持しますけれども、大事な事は、今、奪われた日本国民全員取り返すチャンスの、最初の入り口は、実は、少しずつ開き始めているという事は、意識すべきだと思います。
2013年8月 日本外国特派員協会のアントニオ猪木議員の講演内容を受けて