日清戦争が始まった理由
日清戦争になった時のですね、宣戦の詔勅というのがあるんですよ。
明治27年8月1日
清国に対する宣戦の詔勅
とにかく、清国を追っ払わなければどうにもならんと。
天佑ヲ保全シ萬世一系ノ皇祚ヲ… とまぁ続くのですが、長いもんですよ。
非常に重要なのはまぁこういう事なんですね。
朕ここに清国に対して戦いを宣す。
朕が百僚有司はよろしく朕が意を体し、陸上に海面に、清国に対して戦いに従い、以って国家の目的を達するに努力すべし。
いやしくも、国際法に戻らざる限り、各々権能に応じて、一切の手段を尽すにおいて必ず遺漏(いろう)なからんことを期せよ。
国際法に戻らない限りは、何をやってもいいよという宣戦の、まぁ兵隊さんたちに対する詔(みことのり)ですね。
このね、国際法に戻らざる限りというのがね、日清戦争の時も日露戦争の時も付くんですよ。
ですが、この前のね、大東亜戦争の時はね、付かないんですよ。
あれは、まずかったね、と思います。
一応書いておけばね、良かったんですよ。
書いてないとね、国際法を守る気が無かったみたいな、わざわざ断っていると非常にいいんです。
詔勅の重要性
というのは、日本みたいな立憲君主の国ではですね、詔勅というのが最終的な公文書なんですね。
公文書中の公文書なんですよ。
だから、ここに書かれてあるのは、まぁ一番重要なんです。
だからまぁ、日清戦争の時は、「国際法を守れ」と言ってます。
それから、重要なのはですね、なぜ戦争をしなければならないかという事を書いてあるんですけれども、
朝鮮は独立国である
朝鮮は、帝国が其の始め、啓誘して、列国の伍伴につかしめたる独立の一国たり。
日本が初めて朝鮮をね、誘ってですね、日本の影響力によって他の国とも外交交渉するようになったわけです。
始めは日本に断っていたんですけれども、日本と交渉すると、続いて他の国とも国交を開くようになりました。
だから、初めに日本が誘って、そして、他の国と交際するようになった、独立の一国である、独立国であると、こういう風に書いてあるんです。
しかるに、清国はつねに、朝鮮をもって属邦と称し…つまり、いつも朝鮮は属国だと言って、
陰に陽にその内政に干渉し、その内乱あるにおいては…つまり、そこにゴタゴタが起こると
口を属邦のじょうなんにしき…つまり、属国だからと口実を設けて、
兵を朝鮮に出したり。
これは、明治15年の条約によりよくない話であるから、言っても聞かないから戦争になります、と書いてあります。
だからこの、宣戦布告で非常に重要な事は、日本の軍隊に対しては、国際法に戻らなきゃいけないとはっきり言っている事、それから清国に対しては、朝鮮は独立国であると。
それなのにお前は、朝鮮は属国であると言って、いう事を聞かない。
そして、なんだかんだと言っては兵隊を出し、そして朝鮮の中に騒乱があると、まぁしょっちゅう騒乱があるんですが、ある度に、それを口実にして軍隊を出してくると。
それで、いくら「朝鮮は独立国なんだから、そういう事をやるな」と言っても聞かない。
それで戦争をすると、そういう事を言っているわけです。
これは、今見ても立派なもんだと思いますね。
日清戦争前の日本の緊張感
日本はもちろん、秀吉以来ですね、外国と戦争したことはありませんし、徳川時代は国の中でも戦争した事が無い。
幕末には、まぁ薩英戦争と長州藩が4ヵ国と戦争してコテンパンにやられた経験がありますが、いわゆる戦争は無い、日本国としては。
もの凄い、やっぱり、緊張だったみたいですね。
この宣戦布告が出るやですね、それはその、当時は武士がいっぱいいましたからね、わんさかわんさか志願兵があって、さばくのに困ったという記録もあります。
それでも、武士だからと言って近代戦に使えるわけではないんで、みんな断っていたわけですが。
日清戦争に勝利できた理由
それで戦争が始まったところがまず、意外に日本が強くて、向こうが弱かった。
その理由の一つが、清国は、これが不思議なんですね、当時までのシナ人はですね、他の国からものを学ぶという気は無いんですね。
こういう話がありますね。
清国の皇帝の中には時計の好きな人がいてですね、当時西洋から色んな時計を買ってね、時計の間なんていってね、色んな時計をじゃらんじゃらん鳴らして喜んでいたと、ところが時計を買うだけなんですよ、金はありますからね。
ところが日本はですね、西洋から時計が入ったらすぐに分解して、いろいろ工夫しましてですね、和時計という世界に冠する時計を作っちゃうんですね。
清国の方はですね、軍艦は買うんです。
鉄砲も買うんです。
でも、作る気はないんですね。
日本を脅かしに来る中国の軍艦
だから、軍艦なんかは、日本がまともな軍艦が無いうちに、定遠(ていえん)、鎮遠(ちんえん)なんていうね大型の軍艦を買うわけです。
それで、それに乗って長崎に来てですね、それに乗った水兵が乱暴狼藉をはたらくという事があります。
そして、それからその船は、横須賀に入りまして、日本人も見に行って、みんなびっくりするわけです。
こんな船を清国は持っているのか、とみんな怯えるんですね。
向こうは脅かすつもりで来ているわけです。
で、船が大きいから上陸した水兵たちは乱暴狼藉をやると。
まぁ、今の中国とちょっと似てるんですけどね、無礼な事ばっかりやっているわけです。