時代が変化しても変わらない人間の6つの心理
いい商品を作れば売れる時代ではないと言われて久しい。
今に生きる若者は、生まれた頃から、生活に必要なものに何不自由ない環境で育ち、物に対する執着が極めて少ない。
スマホひとつで、カメラ、電卓、辞書やパソコンなども不要にしてしまう時代。
ネットに繋げば、一日中、時間つぶしにも困らない。
技術革新により、市場が消え去ってしまうことは、今に始まったことではありません。
今の日本は、非常に物が売りにくい社会環境になったと言えそうです。
とはいえ、人々の購買欲求が、無くなってしまったいうワケではありません。
昔とは売れるもの・売れ方が、変わってきているというだけの話です。
事実、毎日CMをバンバン打っているRIZAP(ライザップ)]の業績は非常によく、会社の時価総額は1000億円に迫る勢いだといいます。
今は、売れる商品だけではなく、売り方も工夫しなければ生き残れない時代なのです。
1.社会的証明
社会的証明というのは、簡単にいえば世間のみんながすることを、自分も自然と行ってしまうという、同調する心理のことです。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない。」という、ビートたけしさんが、まだコンビを組んでいた頃に作った標語があります。
これなんて、まさに日本人が周囲に流されやすいという特徴を、実にうまく皮肉っていることがお分かり頂けると思います。
とはいえ、日本人が大多数に流されてしまいやすい事には、仕方のない側面もあります。
学級会だろうが、国会であろうが、全ては多数決で、否応なく決定される環境で、私たちは育ってきました。
少数派の意見がどうせ報われないのであれば、多数派に乗っかっておいたほうが楽だと考えるのが、自然では無いでしょうか。
日本は、過半数の議席を確保できていれば、例え憲法に違反していようが、反対するものが多数いようが、多数決でやりたい放題することが出来る状況にあります。
こうなれば、もはや民主主義なのか独裁主義なのか、よくわからないといった状況も作ることが出来るのが、私たちの生まれ育った国なのです。
出来る限り、波風立てたくないというのが、日本人の気質なのでしょう。
RIZAPは、この気質をうまく利用しています。
自身のCMに、老若男女、一般人から芸能人まで、多数のダイエット成功者を、続々と登場させていますよね。
まさに、日本人の社会的証明に対する弱さを、よく理解していると言えると思います。
2.好意
好きな人にお願いされたら、断る事が申し訳なく感じてしまったりしませんか?
おじいちゃんやおばあちゃんが、孫におねだりされると断れないのも、この好意の心理に他なりません。
大好きな孫のおねがりを断って、孫に嫌われてしまうのが怖いのです。
サギ師の連中も、この好意の心理を巧みに利用し、免疫のないお年寄りに忍び寄ります。
サギ師はとにかく最初は優しく、見た目も爽やか、ニコニコとした好青年を演じます。
パッと見には、とても悪人とは思えなような見た目をしています。
そもそも、明らかな悪人ヅラなら、いくら免疫のないお年寄りだって、警戒するものです。
サギ師は、相手を警戒させないように最新の注意を払い、相手が信頼し、自分への好意が芽生えたことを感じたら、金品を要求し、手にしたら、二度と老人の前には、姿を表わしません。
いかにも親切そうな人ほど、疑ってかからなければならないとは、なんとも皮肉な話ですね。
3.権威
権威というのは、医者や弁護士、大学教授、政治家など、いわゆる先生といわれる人を指します。
日本人は、外国人に比べ、この権威と呼ばれる人に対しても、すこぶる弱いと言われています。
お年寄りなどはその傾向が顕著で、医者から薬が必要だと言われれば、高血圧の薬から、脂肪を溶かす薬から、肝臓の薬、心臓の薬、ビタミン剤と、言われるがままの実態があります。
学校教育もまた然りで、私たちは、先生の言うことが正解だと信じて、学生生活を過ごしてきましたよね?
間違っていたと気づくのは、学校を卒業してからの事であって、気づいた頃には、もはや手遅れだったなんて事もしばしばです。
権威を示せば、何も考えずに偉いと思ってくれるので、販売を仕掛ける側としては、なんとも有り難い話なんでしょうね。
4.返報性
貰ったものが、例えいらないものだったしても、お返ししなければと思ってしまうのが、心情です。
バレンタインなどはまさにそれで、いりもしない義理チョコを貰っても、お返しの時は、貰ったもの以上の物をお返ししてしまっている男性が多いのではないでしょうか。
まさにそれが、返報性の心理というものです。
物を色々とくれるのは、いい人だからではなく、悪い人だからの場合もある事を知っておきましょう。
サギ師や、やり手のホストの手口が、まさにそれであるからです。
ヤツらは、最初は相手にこまめにプレゼントを送ったりします。
そして、相手の返報性が高まったとみると、くるりと後ろを振り返り、
「ニヤリ…」
と不吉な笑みを浮かべるのです。
5.コミットメントと一貫性
コミットメントと一貫性というのは、一度自分で宣言したことや決めたことは、なかなか覆す事が出来なくなってしまうという心理の事です。
この心理は、いい人や真面目な人ほど囚われてしまいがちなので、たちが悪いのです。
宗教にはまって抜けられなくなってしまうのが、まさにこの心理が働いての事ですね。
途中で多少疑いの心が芽生えたとしても、すでに多額の金額や時間を投資している場合が多いものです。
Xのトシさんなどが、まさにこの典型でしょうね。
そこで辞める事は、今までの自分を全否定することに繋がってしまうため、最後まで、ズルズルと止める事が出来なくなってしまうのです。
人間にはこの心理が働くのだという事を、知っておくだけで、自分の状況を冷静に判断する事が出来るようになるでしょう。
人間は、自分のした発言に、強烈に縛れれてしまう生き物だということを知っておく必要があります。
6.希少性
手に入らないものであればあるほど、手に入れたくて仕方なくなるのが心情ですよね。
惚れた女性に振らた男性が、振られれば振られるほど燃え上がり、最後にはストーカーにまでエスカレートとしてしまうのも、この心理が働いてのことと言えるでしょう。
炭素で出来た石ころであるダイヤモンドが、異常に高いのも、この心理に他なりません。
最近は、この希少性のお陰で、大好きなウナギも値上がりしていて、迷惑しているところです。
まさに、希少性が上がれば、値段を上げても欲しい人がいるという事に他なりません。
勿論、希少性があっても、需要が無ければ無意味ですが…
いつでも手に入るのであれば、無理に、今手に入れようとも思わないものです。
消費者を購買の行動に駆り立てるのに、希少性は必須ですね。
最後に
本日ご紹介した人間の心理は、アメリカの社会心理学者であるロバート・チャルディーニの「影響力の武器」によって、一般に広く知られる事となった内容です。
知っておけばサギ師に騙されない。
使いこなせば、非常に強力な武器となると感じて頂けたではないでしょうか。
とはいえ、この内容は、消費者の購買心理を高める方法の、ほんの一部に過ぎません。
そもそも、理屈を知ったところで、実際に使こなせないのであれば、知らないのと同じですよね。
人間が操られる心理について、さらに詳しく学びたい方は、参考図書をご参照ください。
参考図書:現代広告の心理技術101