世界一の発行部数を誇り、ギネス認定までされている大人気少年漫画、ONE PIECE(ワンピース)。
累計発行部数は、2014年の時点で3億2000万部を超えているというから驚きです。
ドラゴンボールの発行部数が、1億5000万部程度ですから、いかにONE PIECEの発行部数が多いか、お分かりいただけるのではないでしょうか。
それにしても、なぜこんなにもONE PIECEは、みんなに愛され続けているのでしょうか?
魅力的なキャラクターや、ワクワクさせるストーリー、個性的な戦闘シーンなども、ONE PIECEの人気の秘訣でしょう。
なかでも、ONE PIECEといえば、感動させるエピソードが満載なのも、人気の秘訣ではないでしょうか。
なぜ、ONE PIECEは、こうも、人々に感動を与えるのか?
本日は、ONE PIECEの名シーンを通して、人がいかに感動するのか、その心理について、考察してみたいと思います。
感動エピソードその1:
シャンクスがルフィに麦わら帽子を預けるシーン
シャンクスは、赤髪と麦わら帽子がトレードマークの、海賊団の頭である。
ルフィは、シャンクスの持つ「悪魔の実」を食べてしまい、ゴム人間となってしまった。その代償として、海で全く泳ぐことが出来ない。
ある時、シャンクス率いる海賊団と、村の山賊が喧嘩をはじめてしまう。
喧嘩に巻き込まれたルフィは、山賊に誘拐されてしまうことなる。
山賊の頭は、人を殺める事を自慢にするような男で、ルフィは小舟で海の沖に連れて行かれ、海に突き落とされてしまった。
全く泳げないルフィは絶体絶命、しかも、海からは突如巨大は怪物が現れ、ルフィを丸呑みしようと迫ってくる。
まさに怪物に丸呑みにされてしまうという瞬間、どこからともなくシャンクスが現れる。
シャンクス:「失せろ」
シャンクスの気迫に恐れをなした怪物は、ガタガタ震え、その場を去って行った。
こうして、間一髪、ルフィの救出は成功する。
しかし、その大きすぎる代償として、シャンクスは自身の左腕を、怪物に食べられ、失ってしまう。
ルフィは、海の苛酷さ、己の非力さ、なによりシャンクスという男の偉大さを知った。
そして、ルフィ自身も、シャンクスのような男になりたいと強く思うことになる。
しばらくして、シャンクス達が船出をする時期が来て、ルフィとの別れが訪れる。
ルフィは、シャンクスに航海に連れて行けといった子供のような発言はしなかった。
しかし、ルフィの海賊になりたい夢は消えておらず、いつか必ず「海賊王」になると、シャンクスに宣言する。
シャンクス:「じゃあ…この帽子を、お前に預ける。」
シャンクスは、自身のトレードマークでもある大切な麦わら帽子をルフィの頭に被せた。
シャンクス:「おれの大切な帽子だ。いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな。」
シャンクスがルフィに大切な麦わら帽子を託したシーンである。
感動する心理その1
1.無償の愛
シャンクスは、赤の他人であるルフィを、まるで自分の弟のように可愛がる。
シャンクスは、ルフィを山賊や怪物から、体を張って助けようとする。
2.自己犠牲
シャンクスは、ルフィを助けるために、自身の左腕を失ってしまう。
3.別れ
シャンクスの船出により、ルフィとの別れが訪れる。
4.壮大な夢
ルフィは、「海賊王になる」という壮大な夢をシャンクスに語る。
5.信頼
シャンクスはルフィの壮大な夢を笑わず、信頼の証として、自身の大切な麦わら帽子をルフィに預ける。
このシーンは、ONE PIECEが連載を開始してから間もない頃で、今後、ONE PIECEを読んで貰えるかどうかを決定する大切な時でした。
そのため、感動する心理を多めに使って、感動シーンを演出しています。
感動要素 : 無償の愛×自己犠牲×別れ×壮大な夢×信頼
感動エピソードその2:
サンジとオーナーゼフの別れのシーン
サンジは海上レストランで副料理長として働いていた。
海上レストランのオーナー兼料理長はゼフといい、右足のない男であった。ゼフの右足が無い原因はサンジにあった。
ゼフは元々クック海賊団という海賊の船長であり、足技が得意なことから、「赫足(あかあし)のゼフ」と恐れられた存在であった。
その時サンジは、ゼフ達が襲った客船に、たまたまコック見習いとして乗っていたのである。
ゼフの略奪に果敢に立ち向かった幼いサンジは、波にさらわれ海へと落ちてしまう。
その時、サンジを身を挺して助けたのがゼフであり、二人は潮に流され、無人島に漂流してしまう。
無人島に残されたゼフは、食料を全てサンジに与え、自分は空腹を紛らわすために、なんと自分の右足を食べて生き延びたのである。
足を失ったゼフは、今後、海賊として生きられないということを意味する。
その事を後に知ったサンジは、自分のせいで、ゼフの全てを奪ってしまったと、心に深い傷を負っている。
海上レストランは、海賊という生き方を失ったゼフの夢であり、サンジは海上レストランを守ることが、自分の責任であると思っている。
そんな海上レストランにルフィ達はやってきた。ルフィが現れると、必ず事件が発生する。
海上レストランを乗っ取ろうとする、ドン・クリーク率いる海賊艦隊が現れたのだ。
ルフィの協力もあり、死闘の末、サンジはなんとかドン・クリーク一味を倒し、海上レストランを守り切った。
サンジに惚れたルフィは、仲間になるよう執拗にサンジを誘う。
しかし、自分には海上レストランを守る責任があるとし、サンジは、なかなか首を縦に振ろうとしない。
サンジは、本当の自分の夢を押し殺していた。
自分の夢をうれしそうにルフィと語るサンジを、ゼフは上のデッキから、微笑みを浮かべて眺めていた。
サンジがレストランに戻ると、レストランの仲間の様子がよそよそしく変わっていた。
サンジをルフィの仲間に送り出してやろうとする、ゼフの心遣いであった。
ゼフが背中を押したことで、サンジはルフィの仲間になることを決意した。
そして、別れの日。
ゼフは、でっきの上からサンジに軽く言葉をかけた。
ゼフ:「おい、サンジ。カゼひくなよ。」
今までのゼフとの思い出が、サンジの頭のなかに走馬灯のように駆け巡った。
感極まったサンジは、叫んだ。
サンジ:「オーナーゼフ!!! 長い間!!! くそお世話になりました!!!」
「この御恩は一生…!!! 忘れません!!!!」
サンジとオーナーゼフの別れのシーンである。