秋元康 勝てるプレゼンテーションの極意 その5
ライバルとの差別化を図る
プレゼンテーションには必ずライバルが存在するものです。
相手は、大手企業との場合もあれば、フリーランスの場合もあります。
そのプレゼンで勝つためには、なにかしらの「強力な技」が必要となります。
コマーシャルのプレゼンをする場合で言えば、他の代理店が、カラフルなプレゼンボードを作ったり、お金をかけてサンプルビデオを制作してくるなら、自分はもっと小回りの効いた方法を選択したりしてみるという事です。
逆に、自分が大手の代理店と組んでプレゼンする場合は、小さな会社は奇をてらった事をしてくるだろうから、こちらは「王道で安心感のある企画で勝負したほうがいいのではないか」などを考え、最終的なプレゼン案に落とし込んで行くという事ですね。
競合を想定するシミュレーションは、競合がいない場合でのプレゼンテーションにも必要となります。
「通常はこうやるだろうな」であったり、「プレゼンを受ける側もこういうふうにプレゼンを受けるだろうな」といったいくつかのパターンを想定しておき、あらかじめ予測できてしまうような平凡なプレゼンを行わない事が大切です。
また、「高いギャラを払ったとしてもお願いしたいと思わせるにはどうしたらいいだろうか」という事を、秋元さんは常に考えているといいます。
例えば、通常であれば2000円しかお金が取れない幕の内弁当を、日本画の巨匠である平山郁夫画伯の風呂敷で包んで、ヒモを引っ張ると弁当が温まる仕掛けを施し、5000円チャージできるように出来ないだろうか、といったアイデアをいくつも考えているといいます。
プレゼンの勝敗は、ライバルといかに差別化するかに掛かっているという事ですね。
秋元康 勝てるプレゼンテーションの極意 その6
相手に媚びない
プレゼンというのは、コンピューターや人口音声が語るものではなく、そこには必ずプレゼンを行なう人間の存在があります。
その人間の持つ説得力は、企画の面白さと同時に、その人の持つ「強み」によって決まってしまいます。
ライバルの強みを真似をして同じことをしようとしたところで、自分にその強みがなければ敵うはずがありません。
例えばライバルが、口八丁手八丁でうまくしゃべれるタイプであり、自分はそのようにうまくしゃべれないのであれば、逆に自分の無駄口を叩かない誠実な雰囲気を活かした、あまりしゃべらない方法で行こうといったことを、自分なりに演出していくのです。
また、プレゼンを行ううえで非常に大切な事は、相手に対して、決して媚びてはならないという事です。
「相手がこう思っているから、こうする」であるとか、「相手がこう出るから、こう対応する」といったように、相手の出方によって、あの手この手と対応策を練るようでは、絶対にプレゼンで、相手に勝つ事は出来ません。
相手に、「こいつ、自分の事を一生懸命読んできやがったな」と感じ取られてしまうと、不信感を与える結果になってしまいます。
プレゼンテーションを行う際、秋元康さんは、相手を単なる「ジャッジマン」だと思うようにしているといいます。
相手に気に入られようとか、相手の趣味や好みに媚びようといったプレゼンは邪道であり、絶対に行うべきではありません。
プレゼンを行う相手の心理を読む事に時間をかけるくらいなら、自分の立場であったり、何を訴えたいのかであったり、競合との違いを明確にするといった事に注力すべきです。
闘うべき相手は、競合するライバルであり、プレゼンの勝敗を決めるのは、企画の良さであることを忘れてはなりません。
プレゼン相手と、争うことなく、媚びる事もしない事が、勝てるプレゼンテーションの秘訣だという事ですね。